第02-B話 淑女訓練

遥の観察レポート


今日は、私をお母さまと呼んだ。

違和感を覚えることなく自然に。


今夜は、歩き方と座り方を教えないと。

綺麗な姿勢で歩く遥はきっと美しい。


朝から美しい姿勢で歩く遥、なんて美しい。

座席に座る姿勢も、背筋を伸ばし真っ直ぐなまなざしで私を見つめる。

座るときにはスカートを意識している。少しずつ慣れてきている。


今夜は食事のマナーをおしえなくちゃ。

まるでお嬢様のような遥、めちゃプリティー。


一日を通して食事する遥を観察していた。

たった一度の説明でよくここまでできる。

あなたは最高よ!遥!


今日は体の管理を覚えてもらわないと。

男の子らしい臭いはNGよ。


体を入念に洗っている遥。

シャンプーの香りがとても遥に合っている。

香水の使い方を教えようかしら?

遥の部屋にアロマオイルを用意した。


遥淑女化計画は予定期間を超えて実施することを決定した。

遥あなたはまだ伸びるわ!

淑女とはあなたのことを言うのよ!遥!


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「遥、制服が届いたわ。一度着てみて」


「はい、お母さま」


遥は制服を手に取り、一つ一つ確認している。


スカート、シャツ、リボン、ブレザー、靴。


「お母さま、変じゃないでしょうか?」


「着られたの?見せて!」


葉子はまじまじと変化した息子の成長を確認する。


「とてもよく似合っているわ。さすが私の子ね!」


「よかった。変じゃなくて」


「きっとクラスメイトはびっくりするわね」


「びっくり…しますよね。当然」


「大丈夫、きっとみんな受け入れてくれるわ。先生たちには事情を話して理解してもらえたから」


「お母さま、いつの間に」


「でもね、さすがにトイレと更衣は別じゃないとってなってね、使っていない多目的トイレを貸してもらうことになったの。みんな驚いちゃうでしょ?」


「はい、そうですよね。でも男でいるためには必要なこと。わかっています」


「明日は高校デビューよ!笑顔で!」


遥の高校生活は、ここから始まるのだった。


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