だれかさん

あなたを、知っている気がする。


いつも私のそばに居るひと

いつも私を見ているひと

誰より私を知っているひと

誰より私を愛しているひと


あなたを、知っている気がする。


いちご味のアイスが好きなひと

ぬいぐるみを抱いて寝るのが好きなひと

大きな声で歌うのが好きなひと

「あの子」のことが好きなひと


あなたを、知っている気がする。


メールより会って話す方が好きなひと

のんびりよりわいわい騒ぐ方が好きなひと

流行りの曲よりただあの一曲が好きなひと

その曲を聴きながら帰るのが好きなひと


あなたを、知っている気がする。


優しさの匂いをした春風が好きなひと

空をこぼしたような青色が好きなひと

誰もいない夕暮れの淋しさが好きなひと

寒い夜の届きそうなほど近い星空が好きなひと


あなたを、知っている気がする。


あの時私に怒っていたひと

あの時私を止めようとしたひと

あの時私が無視してしまったひと

あの時私が、殺してしまったひと


あなたが、泣いている気がする。


私を大切にしてくれるひと

私を護ってくれたひと

私の大切なひと

私が護らなければいけないひと



ああ、あなたは、私、だ。



言わなきゃいけないことを言えなかったから

言ってはいけないことを言ってしまったから

できることをしないで諦めてしまったから

背中を追わずに立ち止まってしまったから


自分の気持ちを隠すことを選んだから

自分の心に嘘をついたから

自分の人生を諦めてしまったから

自分のことを嫌ってしまったから


言えばわかる苦しみを、

結局誰にも打ち明けずに

毒が回ったように動けなくなるなんて、

そんな、無駄な、贅沢。



あなたを、知っている気がする。


いつも私のそばに居るひと

いつも私を見ているひと

誰より私を知っているひと

誰より私を愛しているひと


あなたが、笑っている気がする。


これからはずっとそばに居るからね

苦しいときはちゃんと逃げるからね

何があってもいつも忘れないからね

約束するからね


あなたが、許してくれた気がする。

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