乙女ゲームの世界に召喚されましたが結末が気に食わないので原作を破壊することにしました

@chi_aki

第1話 プロローグ①

「イザベル・ド・クレア。お前の思い通りにはさせない! 」


高らかに力強い言葉が会場中に響き渡りました。その宣言を告げたのは帝国の王太子

であるエドワード・ウィンザー様。


まるで陽光を思わせるような白金色の髪に、青色の瞳は穏やかな色合いに反して強い意志を秘めて舞台上にいるイザベル嬢を睨み付けています。


エドワード様の宣言で、はれやかな生徒会長の就任式の場は瞬く間に弾劾裁判の場へと変貌しました。


私、アメリア・オズボーンは驚きのままに目を見開きエドワード様をただ見つめる事しか出来なかったのです。


私は、帝国のオズボーン公爵家の娘。それ故に他の貴族の模範とならなければならないと今日まで頑張ってきました。しかし、それを嘲笑うかのようにイザベル嬢は私に対して様々な嫌がらせを行ってきた。声を上げても誰も助けてくれなかった。

でも、エドワード様。あなただけは・・・・・・


「・・・・・・エドワード様。一体、何のことでしょうか? 」


しばらく静まり返っていた静寂を破ったのは、イザベル壌の問いかけでした。


「とぼけるな。貴様がアメリアへ行った非道の数々、よもや言い逃のがれはすまい! 」


エドワード様の反論にイザベル嬢は息を呑んでいました。エドワード様が私の為に怒ってくださっている。私はただ混乱するばかりで首を左右に振ってしまいました。


「ですから、心当たりなどないと言っているではありませんか。お考え直しくださいませ、エドワード様! よもやそこまで盲目になられましたか⁉ 」


「言うに事を欠いて盲目だと⁉ 盲目は貴様だと知れイザベル! 会長の地位欲しさに目を覆う所業を繰り返す貴様に生徒会長の資格などない! 」


「証拠もないのに・・・・・・」


イザベル嬢が声を上げましたが、遮るようにエドワード様が一喝しました。その目にはありありと彼女への敵意が込められていました。


「まだ白を切るか、アメリアに対する過度なイジメ、所持品の盗難や損害、更には暗殺、その全ては貴様が裏で糸を引いている事は調べがついている! 」


エドワード様から突き付けられたその言葉にイザベル嬢は驚きを隠せない様子でいつの間にか先ほどまでの余裕の態度はどこにもありませんでした。


そして、イザベル嬢が弁明しようとしたその時でした!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る