第2話 電車で移動しよう!
ここがコスイの世界だということは理解したがなんせ登校日が明日ときたもんだ。
展開が少し早い気がする…何故もう少し早くに気づかなかったんだオレはッ!!
まぁそんなこと考えても仕方がない。
コスイは学園での3年間を通しての物語となっている。
本編は学園入学の少し前から始まっているのでオレはゲームよりスタートが遅れていることになる。
「なんでだよッ!普通は本編開始前か大事なイベントシーンぐらいで気づくパターンだろうがよ!!」
頭をガシガシと搔きながら愚痴を言うがこれももう仕方がない。
「とりあえずこの髪切るか」
今のオレの髪型は所謂いわゆるマッシュに近いものだ
いや、少しかっこよく言ったが実際はただ髪が長いぼさぼさなだけだった。
今の今までオレはどこかぼんやりとした世界を見ていたように思える。
そう思っていたのは多分この世界のことを理解していなかったからだろう。
だが、それを理解した今。ただこの頭に生えているボサボサな髪が邪魔に思えてくる。
前のオレは短髪だった…ような気がする。
やはり前世のオレについてはあんまり覚えていないようだ。
ゲーム知識だけちゃんと残ってるのが少し気がかりではあるが今気にしててもどうしようもないからな。
「どっか散髪行くか」
外を見ると少し日が落ちてきているがまだ店は開いてるだろう。
急に色々と考えることができて丁度外の空気を吸いたかった頃だしな。
ベッドの脇に置いてある財布を取りポケットに突っ込む。
「自転車…いや、電車で行くか」
なんとなく歩きたい気分なのでそのまま駅まで歩いて行くことにした。
○○○○○○○○○○○○
オレの住んでいるとこは都会と田舎の中間みたいなとこだ。
ゲームの舞台事態なんの変哲もないとこだしな。なんなら田舎寄りでもある。
そしてオレの知る限りゲームで見た背景とオレが知る自分の家の周辺の景色が一致しないことからどうやら主人公やヒロインの家とは遠いのかもしれない。
「ヒロインとの登下校イベントは無理かもなぁ~」
まぁエロゲの背景なんざ数枚で事足りるしただの道風景が複数枚あっても気づかないか無駄情報なだけだからな。そう考えるとワンチャンある気もしてくるが…まぁそのうちわかることか。
ぼやきながら家を出る。
モブだが両親がいない…というわけもなく両親となんなら4つ上の姉までおりマンションに住んでいる。
両親は共働きだが遠くにいるということもなく普通にサラリーマンとパートの主婦だ。
姉は大学に行ってて弟であるオレとはこの頃あんまり喋らなくなった。まぁこれも普通の兄弟だろう。前世のオレは兄弟なんていなかったっぽいが。
まぁ、結論としてちゃんとモブである。
とくにこれといった実績とかもなく。
趣味はアニメや漫画といったごく一般的なものだ。
「こっからヒロイン攻略か…」
なんか自信無くなってきたな…
攻略が簡単なヒロインもいるがそれは主人公だからという前提があるからだというのにも思える。
そんなキャラをオレが口説けるかと考えると不安しかないが…実際やってみないと分からないからなぁ
ぼんやり考えながらいつの間にか着いてた駅の改札を通り電車に乗る。
「うおっ」
帰宅ラッシュにはまだ早いと思うが思ったより人が多くつり革につかまる。
片手でポケットをまさぐり無線イヤホンを取り出し着ける。
好きな曲を聴きながら電車で揺られていると肩を叩かれてるのに気づき叩かれてる方向を見ると何やらギャルっぽい女子がこっちを見て何か言っている。
なんか嫌な予感はするがイヤホンを外してみる。
「ちょっとナニ人のケツ触っておいてシカトかましてんの?」
うわでた。嘘だろぉまさかゲーム世界で冤罪をかけられてバッドエンド迎えるのかオレ?
「は?してないんすけど…?」
「やってるヤツはみんなそう言うんだよ、おっさん」
「おっさ…」
オレが…おっさんだと?
もしやコイツオレが前世持ちだと…んなわけないか。そもそも前世のオレが何歳で逝ったかも覚えてないしな。
あれ?ということはシンプルにおっさんだと?嘘…だろ…。
「誰がおっさんだ、オレはまだ16だ」
「えっ…嘘つくならもうちょっとマシな嘘つきなよ…」
え…ドン引きされてる?
嘘でしょオレもしかして冤罪ふっかけ女にドン引きされてるの?
いやまぁ確かにオレは16にしては背が高い方だし服のセンスがおっさんだと姉にも言われたことがあるが…
「まぁ、オレはお前なんかのケツなんざ触ってないから」
「は?アンタが触ったの私ちゃんと見てっから。知ってる?痴漢はちゃんとした犯罪なんだよ?」
とってもめんどうなことになってしまった。
やはり自転車で行くべきだったか…
まぁ正直目的地に着いたらがんダッシュを決めれば逃げれるのかもしれないが…あんましよろしくないだろうなぁ
周りの人の目も痛くなりつつある
どうしたものかと考えていると横から声をかけられた。
「あの、彼はやってないですよ」
声の方を見るとそこは髪が目にかかりそうでかからない程度で黒髪の色素を薄くした感じの青年がいた。
…欲を言えばヒロインのほうが良かったな…。
「僕、ちゃんと見てました。この人はやってません」
「は、はぁ?アタシはコイツが触ってるのちゃんと見たんだけど?」
「この人がやってないのを見てたのを僕以外にもいますよ」
そういう主人公くんの隣にはOLが立っていた。どうやらその人がもう一人の証言なんだろう
「いや…私は…」
ギャルはもう戦意喪失したのかオロオロしている。
そんなすぐダメになるならやらなきゃよかったのになぁ
「あれ?てかこれオレ疑い晴れた感じ?」
いつの間にかオレに向けられてた視線はギャルの方に向いている。
なんだかいたたまれない気持ちになるがオレがさっきまで向けられてた視線だ、よく味わっておくれ。
「あ、オレもう降りるから。あんちゃんとお姉さんありがとう、助かったぜ!あとギャル!本当に痴漢されてたなら同情はするがそうじゃないならあんまヒトサマに迷惑かけるようなことすんなよ」
正直メインストーリーに入る前にこういうのは求めていないのである。
何か大きい行動をしたらこれからに影響がありそうだからあまり目立つようなことはよしておこう
というか普通にこの場から去りたい。
すたこらさっさと駅を出て散髪屋に向かう。
電車から降りるとき助けてくれた男子が何か言いたそうにしてたけどガン無視してしまったな。
まぁしょうがない。オレは今散髪に行くという使命があるのだ。
助けてくれた男子にはせめてのお礼として心の中で救世主メシアくんと呼んでおこう。
「ま、色々と考えること山盛りだがもうさっきのでだいぶ疲れたしなぁ」
髪切ったらすぐ帰って寝たい気分だ。
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