第6話 二人で救援!恐怖の新人教育
救援依頼が駆け込んできたのは、昼下がりの協会ロビーだった。
「廃教会にて、新人冒険者が交戦中!壊滅寸前とのことです!」
受付嬢の声は震えていた。
隣の書類には “救援要請:ヘルスニキ(単独派遣中止)” の文字。
受付嬢「今回は……フィオナさんもご同行ください……!」
フィオナは静かな微笑みで頷いた。
その瞳だけが、妙に輝きすぎている。
バルク「頼もしい仲間だ!さぁ行くぞ、フィオナ殿!」
フィオナ「はい♡
慈悲の拳で、救済いたしましょう」
(受付嬢:絶望のため息)
⸻廃教会前
夕陽がのぼりかけた空の下、
草原にぽつんと古びた教会が影を落とす。
ひしゃげた扉の向こうから、
悲鳴と怒号が飛び交っていた。
新人A「毒ぅぅ!視界がぐるぐる!」
新人B「腕ぇぇ!曲がったままァ!!」
新人C「蘇生代は高いから死ねねぇ!!」
その瞬間、風を裂く轟音。
ヒュウウウウウッ――――
ドオオオォォォン!!
大地が揺れ、廃教会の壁にヒビが走る。
土煙が視界を飲み込み、埃が風に舞い上がった。
新人ABC
(((災害が降ってきた――!?)))
煙が晴れる。
そこに立っていたのは――
光を反射するメイス
隆起した筋肉
眩しい笑顔(物理暴力の象徴)
バルク「拙者、治癒士!救援に参上!」
新人ABC
(治癒士……?どこに??)
すぐ隣には
白衣を纏いつつ、目が危険な輝きの女神官。
フィオナ「ご安心を……痛みは救済そのものですわ♡」
新人ABC
(なんかヤバい司祭まで来た!!)
アンデッドが新人Aへ飛びつく。
新人A「ぎゃああ!来るなァ!」
バルク「ヒール!」
バシンッ!!!
乾いた音が草原に響き、
新人Aの顔がくの字に曲がる。
新人A「ア”ァ”ァ”ア”ァ!!?」
しかし
血が止まり
毒が抜け
立ち上がれる
新人A(治ってる……!!けどこれ“治癒”か……!?)
フィオナ、瞳を潤ませる。
フィオナ「なんて……麗しい救済……!
痛みが生を呼び戻す……!」
新人B(いや回復魔法の概念死んだ!?)
数体のアンデッドがフィオナへ迫る。
しかし彼女は祈りの言葉など唱えない。
むしろ――両手でメイスを握りなおした。
フィオナ「神よ、力を……
殴り砕きたまえ」
笑顔。
一切の迷いなし。
ヒュッ、ゴシャッ!!
頭蓋、粉砕。
骨が宙を舞い、地面に散らばる。
新人C「ひ、ひええぇぇ!?
女神官ってもっとこう、光の矢とか……」
フィオナ「拳に宿してますわ♡」
新人C(光の矢=拳……!?)
さらに後方から
腐臭と共に増援が溢れ出す。
バルク、肩を回し、深呼吸。
バルク「フィオナ殿!滅で祈る!!」
フィオナ「はい!邪悪には破壊ですわ!」
二人、地を蹴る。
地面がめり込み、草が波となって揺れた。
メイスが振り抜かれた瞬間――
廃教会の屋根半分が
空へ飛んだ。
新人ABC
(((アンデッドより環境破壊の方が本命!!!)))
アンデッド全滅。
新人A「い、生きてる……」
新人B「身体は……ふつうに全快した……」
新人C「でも教会の方が瀕死……」
フィオナは瓦礫の前で跪き、
夕陽を浴びて祈るように言った。
「昔、助けを求める人が
祈っても救われなかった時がありました。
でも、今日わかりましたの。
救いは、与えるものではなく――
叩きつけるもの」
新人ABC
(説明が重いし怖い……!)
バルク、誇らしげに頷く。
「そうだ!わかっているな!
拙者らは拳で命を護る!!」
新人ABC
(((その結論の導線間違ってるぅぅ!!)))
⸻協会
受付嬢「……依頼成功……
ですが修繕費が……!教会の……!」
バルク「拙者が建て直す!筋肉で!」
フィオナ「拳の跡は神聖ですもの♡」
受付嬢
(もうこの二人を派遣しないで……)
こうして
筋肉僧侶 × 狂信女神官
最凶の救護バディが誕生した。
誰もまだ知らない。
この日を境に、廃教会の再建依頼が増加することを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます