第13話:ありきたりなプロポーズ。
観音さんは自分の伴侶、つまり自分の奥さんになってくれる女性のことを
考えていた。
そろそろ奥さんをもらってもいい歳だからね。
このまま理髪店を営んでいくなら奥さんになってくれる人も同じ職業の人が
理想的って思っていた・・・だからシャルムはうってつけの存在。まあ、
それは当然の考えだね。
だから観音さんは迷わずシャルムが自分の奥さんになってくれたらいいな
って思っていた。
シャルムなら一緒に理髪店を営んでいける。奥様は魔女なんてレアだし・・・。
問題はノ〜天気なシャルムがどう思うかってこと。素直に自分の奥さんに
収まってくれるかどうか・・・。シャルムは恋人だよって言ってはくれる
けど結婚しようとは思ってないかも・・・。
あれだけ自己嫌悪に陥りながらシャルムに性教育してエッチしたんだから
結婚してもいいだろって観音さんは思っていた。プロポーズもしないで
このままボーッと指を咥えて見てたってしょうがない。
(だめだ、このままじゃ・・・恋人なら勇気を出して行動にうつさねば・・・)
観音さんは閃いたかのように決心した。
カオスの方はメイドコスのシャルムとコーヒーショップのおかげで繁盛して
いた。
忙しいけど平和そのもの。とくに劇的なアクシデントもドラマもなく・・・
可もなく不可もなくな日々・・・。だからシャルムは、時にこの平凡な暮らし
を持て余す時があった。
この暮らしに少々飽きてきてるのかな?つまりマンネリしてきてるのだ。
店を閉めたあと、カオスの庭のガーデンテーブルで星を見ながら晩ご飯を
食べていた、ふたり。そしたらシャルムがボソッと言った。
「私、またどこかの国へ旅に出ようかな?」
「あのたくさんの星見てたら、ふとどこかへ行きたくなっちゃいました」
「え?旅?」「なに急に・・・なんで、どうして?、今更?」
「ここが気に入らなくなった?・・・飽きちゃったの?」
「だいいち僕はどうするの?・・・僕を置いて旅に出るつもり?・・・
もしかして別れるの?・・・まさか恋人解消じゃないよね」
シャルムが旅に出ようかなんて言ったもんだから焦る観音さん。
「そんなに一度にいろいろ言ったら何言ってんのか分かんないです」
「旅に出るって・・・まだ分かりませんけど毎日平凡でつまんなくなっ
ちゃったのかもしれませんね、私・・・」
「それに観音さんがいつまで経っても私にプロポーズしてくれませんし」
「そこで止まってるんですよね・・・私と観音さん」
「観音さん、私たち恋人同士でしょ?・・・いつまで恋人同士でいるつもり
ですか?」
「私待ってるんですよ?・・・観音さんからの言葉」
「あのね、いくら魔法使えても彼氏の気持ちまでは動かせないんですよ?」
「そうなんだ・・・僕ってバカだよね・・・シャルムがそこまで思ってくれ
てるのに・・・結婚してって言い出せなくて・・・」
「あん・・もうプロポーズの言葉言う前に行っちゃったじゃないですか?」
「だから・・・僕と結婚してくれるシャルム」
「ありきたりなプロポーズ・・・もっとキュンってくるような言葉で言って
欲しかったです」
「結婚してってのじゃダメなの?」
「いいですもう・・・それで・・・不器用でサプライズのない旦那様」
「ありがとう、シャルム」
「どういたしまして・・・これからもよろしくお願いします」
「それじゃ〜もう敬語はやめようね」
「普通にしゃべって、ね」
「あ・・・そうですね・・・分かった・・・観音ちゃん」
「ってことで、今夜もしちゃうエッチ?」
「いいよ・・・」
「今更だけど・・・僕でいいんだよね・・・君のパートナー」
「余計なこと考えないでお互いの気持ちの赴くままでいいんだよ」
「そうだね・・・シャルムの言う通りだ」
「それじゃ〜旅に出たいなんて言えないくらい可愛がってヘトヘトにさせて
あげようかな?」
「うん・・・ずっとここにいたいって思わせて」
「来て、観音ちゃん・・・恋人同士のコミュしよ?」
「え?今から?」
「今だから・・・・今したいから」
「私、どこにも行かないからね、観音ちゃんから離れないから・・・」
つづく。
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