第二回:作品の前段階でプロットを作るべきか?

創作における永遠のテーマ──それが「プロットは作るべきか、作らないべきか」である。これは創作者によって意見が大きく分かれ、どちらが正しいという決着は永遠につかない。なぜなら、この問題は“作風”や“思考タイプ”という、その人の根本的な気質に強く結びついているからだ。


ここでは、プロット作成に対するスタンスを大きく二つのタイプに分けて考えてみたい。某作品でも語られていた分類だが、非常に的確なので引用しよう──「天才タイプ」と「計算タイプ」 だ。


■ 天才タイプ:感性と勢いで世界を形にする創作者


天才タイプは、物語の全体像を最初から決めていないことが多い。むしろ「決めないまま書く」ことが自然で、プロットという枠にはめられることを嫌う傾向がある。


天才タイプの特徴


プロットを書かない、または最小限しか書かない


その日の気分で筆が進む or まったく進まない


作品に“ノリ”や“勢い”を重視する


嫌いな作品は読まないし、無理に研究もしない


彼らにとって創作は“感覚”であり、“爆発”であり、“ひらめきの連続”である。キャラクターが勝手に動き始め、物語が自然に展開していくタイプがまさにこれだ。


天才タイプのメリット


勢いが強く、読者の心を一気に掴む力がある


キャラクターの生き生きした動きが生まれやすい


発想が自由で、予定調和に縛られない物語になる


天才タイプのデメリット


書きながら迷走しやすい


中盤で失速することがある


物語の整合性が崩壊する危険が高い


天才タイプは“スパークする才能”を持つが、作品の完成度には波が出やすい。だがその代わり、当たれば爆発的な魅力を生むのも事実だ。


■ 計算タイプ:構造と分析から作品を組み立てる創作者


一方で計算タイプは、作品づくりを「設計」だと考える。読者層、流行、競合作品の傾向を把握した上で、自分の物語の立ち位置を決め、緻密な計画のもとで組み立てていく。


計算タイプの特徴


綿密なプロットを作る(章構成・キャラ配置・起承転結)


市場分析・流行分析を行う


読み手の需要を考慮して作品を設計する


作品の完成率が高く、破綻しづらい


計算タイプは職人のように物語を磨き、構造美と整合性を重視する。感覚に頼りすぎない分、安定した品質の作品が生まれやすい。


計算タイプのメリット


物語が破綻しづらい


執筆途中で迷いにくく、完走率が高い


読者が求める展開を計算できるため、ウケる作品を作りやすい


計算タイプのデメリット


勢いが弱く、予定調和になりがち


自由度が低く、キャラの自発的な動きが生まれにくい


分析疲れ・計画疲れが起こることがある


計算タイプは“確実に面白い作品”を作る強さがあるが、奇跡的な爆発力は天才タイプより控えめになる傾向がある。


■ プロットを作る作らない──どちらが正解なのか?


結論から言えば、どちらにも正解はない。ただし、それぞれに明確なメリットとデメリットがあるため、自分の気質や作風に合わせて選ぶのが最も賢い。


● プロットを作るメリット


物語が破綻しにくい


完走しやすい


修正が楽


冷静に構造を見れる


● プロットを作るデメリット


書く前に満足してしまう


“予定調和”になりがち


自由な発想が抑えられる


● プロットを書かないメリット


キャラが自然に動く


驚きや“物語の勢い”が生まれる


想定外の名シーンが誕生しやすい


● プロットを書かないデメリット


迷走しやすい


結末がぶれる


修正に膨大な時間がかかる


■ 最終的に大事なのは「自分が気持ちよく書ける方式」


プロットを作るべきかどうか──その答えは、あなたがどちらのほうが筆が進むかで決まる。天才タイプでも計算タイプでもいいし、その中間でももちろんいい。


大切なのは、


・自分が一番楽しく書ける方法

・作品の魅力が最大化される方法


この二つが一致するスタイルを選ぶことだ。


プロットはあくまで“道具”。使ってもいいし、使わなくてもいい。あなたの物語を強くするためにあるものであって、あなたを縛る鎖ではない。


創作の方法は無限にある。大事なのは、自分が前に進める道を選ぶことだ。

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