ぷろろーぐ!

第1話









お気に入りのグレーのスカートを揺らして、ぴかぴかのブレザーをきっちり羽織って足取り軽く正門をくぐる。




女子高生歴、約1週間。JK、あぁ、なんて素敵な響きだろう! 華のJK、15歳、春。これまでの人生の中で今がきらめき最高潮!な、わくわくとどきどきに包まれた、とある日。




正門から校舎に辿り着くまで、一直線に少し歩かなきゃならないちょっぴり特殊な学校にもこれから慣れていくんだろうなぁとこれからの生活に思いを馳せていた、そんな時。




ふと、目の前を歩く背の高い男の子の鞄から、何かがひらりと落ちていったのが視界に映った。その男の子は全く気がついていないようで、わたしは軽い足取りのまま落としたそれを拾い上げた。




手にとってみれば、それが定期券だというのは一目瞭然。黒いレザー調のケースに入れられた、ICカード。特に名前を確認もせず、そのまま持ち主の男の子に後ろから声をかけた。





「あの、!」





後ろから近づいて、後ろから声をかけたら、ゆっくりと足を止めて、後ろを振り返った。身長差は、20センチくらいだろうか。さらさらの黒髪を揺らして振り向いて、わたしの顔をとらえたその顔に、勝手にわたしは運命を感じてしまったのだ。




ときめき、きらめき、やっぱり今!この瞬間が最高潮だ。想像を遥かに超える整った顔、一目見て、顔の造形を分析することなく脳直で「かっこいい」と思わずこぼしてしまいそうな容姿だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る