第3話 💪強く逞しく💪
白蛇リュウイチが異世界に放り込まれて、早一週間が過ぎていた。
あれからリュウイチも、徐々に自分について知っていく。
まず一つ、自分は【蛇神の眷属】という半神だということ。
【蛇神の加護】は、蛇が出来る大体のことは、彼でも出来るということだ。
つまり……。
「とう!」
白蛇は木を登ると、そこから飛び上がる。
そして腹を扇平に広げて、滑空すると別の木に取り付いた。
これはトビヘビの能力、しかも風さえ読めば飛行も出来そうである。
「とあっ!」
更に白蛇は森の中に出来た溜め池に飛び込んだ。
水中を泳ぐ能力、ウミヘビの能力である。
彼は地球に生息するヘビ亜目の能力ならほぼ完備していると言っていい。
だがいずれの能力も実際の蛇よりも強力なようだ。
(溜め池の底、獲物発見!)
白蛇は器用に底まで泳ぐと、沼底の淡水カニに噛み付いた。
カニは一瞬暴れるが、すぐに動けなくなる。
痺れ毒によって麻痺してしまったのだ。
こうして白蛇はラクラクとカニを捕食すると池から出てくる。
変温動物の蛇は寒さが大敵であるため、長時間水の中にはいられない。
といっても、この森はかなり温暖なようだが。
うっすら射す
「ふぅ、えーと《ステータスオープン》」
そう呟くと、彼の前に光の映像が映し出された。
そこにはリュウイチの詳細なデータが映っている。
【 名前 】 リュウイチ
【 種族 】 白蛇
【 レベル 】 8/10
【 ランク 】 ■□
【 攻撃力 】 17
【 防御力 】 34
【 魔法力 】 65
【 魔防力 】 34
【 敏捷力 】 45
【 スキル 】 蛇神の加護 猫神の加護
「うーん……?」
この《能力鑑定》とかいうスキルに気付いたのは、異世界に来て三日目の頃であった。
たまたま昔見たアニメでこんな感じに魔法が発動するのを見たことがあり、
しかし、出たら出たで疑問が出てくる。
「これレベルって、上限がたった10なのか?」
なんとなく蛇らしく生きていると、獲物と戦う機会があり、気が付くとレベルアップしていた。
どうやらこの世界の生き物、魔物と戦うことでレベルアップするらしい。
というか、蛇神の眷属というわりに、超弱いんですけど、とリュウイチは蛇神に文句言いたいくらいだ。
更に謎なのが、ランクという項目。
ソシャゲとかでお馴染みのレアリティなのだろうが、よりにもよってリュウイチのランク項目がバグっている。
丁度彼の前をカエル(ジャックフロッグ)が横切っていくので、彼は「ステータスオープン」と唱えた。
するとカエルのステータスが見えてしまう。
【 種族 】 ジャックフロッグ
【 レベル 】 15/30
【 ランク 】 ☆☆
【 攻撃力 】 30
【 防御力 】 8
【 魔法力 】 2
【 魔防力 】 10
【 敏捷力 】 25
【 スキル 】 まるのみ 水陸両用
とまぁ、普通のこの世界の魔物というのは、ランクが☆の数で表示されている。
この☆が多い魔物ほど、強力な魔物だとわかった。
つまり自分はいいところ☆☆程度の白蛇だと思われるが。
「わかんないのは、【蛇神の加護】と【猫神の加護】だよな」
【蛇神の加護】はまだなんとなく分かる。
蛇っぽい能力が多分強化されている、おかげでいきなり異世界に放り出されたにも関わらず、なんとか一週間生き延びれた。
じゃあ【猫神の加護】ってなんだ?
猫っぽい能力が使えるのか?
違う、蛇の身体では猫の能力なんて使えやしない。
じゃあなんなんだこの【猫神の加護】って、猫神に問い質したい。
「気になるのはレベル上限に到達すると、どうなるのか?」
色々な魔物を鑑定すると、☆が少ないほどレベル上限も低いことがわかっている。
だが上限が10と低い魔物はこの森では見当たらなかった。
そう、☆一つの超弱小魔物でさえ、上限は15なのだ。
これって、もしかしてレベル項目までバグっているんだろうか?
「考えても答えはでない、なら行動することで答えを出そうじゃないか!」
そう思うと、リュウイチは慣れたように森の中を進んでいく。
すると、空にあの巨鳥を確認した。
巨鳥――【ダイブイーグル】は高さ300メートルからでも、地表の獲物を見つける能力がある。
この森で一週間、あのダイブイーグルがこの森ではかなり力がある魔物だと知った。
ダイブイーグルは当然白蛇をロックオンし、急降下してくる。
リュウイチは冷静にダイブイーグルへと口から毒液を放った。
ダイブイーグルはモロに毒液を浴びると、もだえ動けなくなる。
今使ったのは麻痺毒だ、毒ひとつとっても、様々であり、毒の扱いも大分慣れたきた。
ダイブイーグルはおかげで呼吸さえままならない、白蛇はそんな巨鳥の頸動脈に噛み付く。
「ピョ、エ……」
「
この森ではまだまだ下から数える弱い白蛇。
ダイブイーグルから経験値を得ると、彼はレベルアップする。
【レベル上限に到達しました】
【新たな姿へとランクアップします】
突然、脳内に聞き覚えのない声が響く。
彼は直ぐに自分の能力を確認した。
レベルは10/10。
新たな姿とは、まさか進化システムだろうか?
彼の前には強制的に光の映像が出現する。
そこにあったのは。
【飛行能力獲得】【水中能力強化】【膂力強化】【特殊能力獲得】
【以上、ひとつを選択してください】
「えっ!? まさかの四択!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます