第6章 九死に一生

セクション1の図面を見ながら、緑川は優愛に言った。

「この扉から入った所は、オープンスペースで敵から狙い放題です。すぐ右奥にある階段スペースまで移動する必要があります。敵はそう来ると思っているから、階段上で待ち伏せしているでしょう。でどうするか」

 緑川は鋼板を一枚優愛に渡して言った。

「階段ではその2枚の鋼板でできるだけ隙を作らずカバーして、私の左側に離れずにいてください」

 正面扉付近で撃ち合いが始まった。

「さあ、行きましょう。入ったらすぐに右手に。階段下まで飛んで」

 入るなり、弾が飛んできた。鋼板が弾いてくれている。

 二人は無事階段下に着いた。案の定階段上から撃ってくる。

「一人のようですね。さっきの作戦通り行きます」

 優愛は鋼板を左右に広げて自分と緑川の一部をカバーし、緑川は左手で鋼板を3枚持ち、自分をカバーし、右手で一番小さい鋼板を持った。

「さあ、行きますよ。ゆっくり、慌てずに」

 二人はゆっくり階段を上った。

「上からの敵は優愛さんの鋼板を持っている指を狙ってきています。指に当たらないよう上下左右に速く動かし続けてください」

 敵は階段の上右隅から撃ってきていたが、我々が撃たないとみて、階段中央に寄ってきた。

 階段を半分くらい上がった所で、緑川は右手に持っていた鋼板をその敵に向かって思いっきり投げつけた。鋼板は敵の上半身に見事命中し、その敵を仰向けに倒した。そのすきに緑川はその敵の顎のあたりに3発続けて発砲した。一発は貫通したようで、敵は動かなくなった。

 優愛が、「すごい! そんな特技をお持ちなんですね」

「川に石を投げる水切り、が得意でした。子供のころ。さあ階段を上ります」

 緑川は走って、倒れた敵のところに行き、状態を確認した。死んではいないが、息苦しそうにしていた。復活しないよう手足をロープでしっかりくくった。緑川は投げた鋼板を回収した。

「喉の部分はスーツの弱点なんですよ」

「彼らがそう言ったんですか?」

「自分で触ってみてそう思いました」

 新たな敵がこちらに走ってくるのが見えた。

「あの敵は仲間がどうやって倒されたかを見ていないと思いますので、もう一度同じ作戦で行きます」

 二人は鋼板で盾を作った。優愛の左手の鋼板を持っている指が前から見えている。緑川の鋼板を持っている左手は優愛の鋼板で隠されている。敵は優愛の左手を狙って撃ってきている。

「左右上下に速く動かして」

 緑川はまた同じように優愛の左手に集中している敵に向かって、鋼板を投げつけた。鋼板は敵ののどのあたりに命中し、銃を撃たなくても動かなくなった。

 緑川は急いで敵のところに行き、素早く、手足をロープで拘束した。投げた鋼板も回収した。

「ロープのくくり方にも慣れてらっしゃるのね」

「ゴミがかさばらないよう、いつも紐でくくっていました」

 敵が意識を回復した。「んーーー。今の一撃は効いたな」

「我々は自分たちの世界を守りたいだけだ。あんたたちを殺したいわけではない」

「俺たちも自分たちの世界を守りたいだけだ」

「そうなら、あんたたちが何もしないでここから引き揚げれば、お互いの世界を守ることになるんだけど」

「指導者がわが世界を守るために、戦う必要があると言ってるんだ」

「その指導者が嘘っぱちなんだ」

「指導者は信頼できる人だ」

「あんたと問答しても、堂々巡りなだけだ。我々は行くので、あんたはここでしばらくじっとしていてくれ」

「俺の前にいたやつは殺したのか?」

「縛ってある。怪我はしているが死にはしない。殺しは嫌いだ」

 緑川が立ち去ろうとすると、「ちょっと待って」しばらく置いてから、敵は続けた。「我々の主力は3階にいて、メインAiを攻略しようとしている。彼らは強いぞ」

「何人いる?」

「指導者を入れて3人だ」

「ありがとう」

 緑川は優愛に言った。

「まず2階の我々の世界のエリアを確認に行こう」

「わかったわ」

 24世界のエリアは簡単に見つかった。順番通りに表示がある。その部屋に入る扉は一つだけで、その付近に焼け焦げたような跡があり、鍵や暗証番号を入力する部分には激しく攻撃した跡がある。でも扉はびくともしていない。

「さっきのやつが言ったことは本当のようだ。彼らはここの攻略をあきらめて3階に行ったようだ。3階に行きましょう」

 階段室に戻り、3階を目指した。

「さっきの音も聞こえているだろうし、待ち伏せしているでしょう。作戦が必要だ」

 緑川は優愛に頼んだ。「今度は少し活躍してくれますか?」

「もちろんです」

「先に階段の中頃まで上がって、敵は撃ってくるでしょうから楯で相手の銃弾を防いでいてくれますか?」

 緑川は優愛に大きめのと小さめの鋼板を2枚渡す。

「2枚もいりませんわ」

「それを階段下にいる僕が合図したら敵に向かって投げてほしいんです」

「私にこんなの投げれます?」

「力は10倍なので十分投げれます。当てる必要はありません。敵が避けてくれればいいんです」

 階段は上がりきったところが突き当りでその後の廊下は右に伸びている。優愛は階段下左隅に緑川は階段下右隅に陣取った。案の定上から銃弾が降ってくる。

 緑川は指示した。「弾に当たらないよう少しづつ階段を左壁に沿って上がってください。中ほどで止まってください。

 優愛は階段を上がりだした。

「僕の準備はOKです。鋼板を2枚続けて投げてください」

 優愛は鋼板を一枚投げた。結構いいコースに投げたと思ったが、敵は避けた。優愛は二枚目を投げた。それと同時に緑川は床を蹴り、階段上部まで一気にジャンプし、突き当りの壁を蹴り、勢いをつけて敵に突進した。敵は2枚目の鋼板を避けるのに気を取られ、緑川の突進に気が付くのが一瞬遅れた。敵は緑川に銃を向けようとしたが、緑川が右手で持っていた鋼板を振り下ろすのが一瞬早く、敵が銃を持っている右腕に当たり、右腕が吹っ飛んだ。敵は左腕で攻撃しようとしてきたが、緑川は反対の手で持っていた鋼板を敵の胴に向けて思いっきり振り下ろした。鋼板は胴に食い込んだ。敵は倒れた。

「待ってくれ。参った」

「我々はあんたたちと違って無益な殺し合いはしない。あんたはもう動けそうにないので、このまま置いて行く。仲間で誰か助けたいものはいるか? いればここから呼びかけろ」

「我々だって無益な争いだとは思っていなかった。指導者の言うことが正しいと思ってここまで付いて来た。でも容赦なくSL社員を殺すのを見て、少しおかしいな、とは思い始めていた」

 敵は仲間に向かって叫び始めた。

「おーい俺だ、安井だ。深い傷を負ってもう戦えない。おーい、なかむらあー 聞いているか? もうよそうぜ。やめて帰ろうぜ。この人たちのほうがまともそうだ」

 しばらくして、奥で争っている音がした。銃声が何発かあって静かになった。

 緑川は聞いた。「仲間が勝ったのか?」

「いいや。指導者が勝った様子だ。中村が勝ってればもう出てきてもいいころだ。指導者は少し強いぞ。彼は生前格闘技を生業にしていたらしい。今はあんたたちに頑張ってほしい。そして、中村が生きていれば助けてほしい」

「了解。彼はどこにいる?」

「メインコンピューター室への入り口で扉を開けるか壊すか取り組んでいるだろう。外から手に入れた銃を持っているから注意しろ」

「ありがとう」

緑川は優愛に向かっていった。「いいですか?行きますよ」

「行きましょう」

 緑川は、倒れた敵に食い込んだ鋼板を抜き取り、他の4枚の鋼板を回収してから、3階の奥にあるメインコンピューター室に向かってゆっくり進んだ。途中で攻撃を仕掛けてくる気配はない。柱がいくつかあるので避けるところはある。

「どれくらい強力な武器を持っているのでしょうね?」

「直接2階の我々の世界の部屋の壁を破ろうとしていないから、大したものじゃない、....と期待しています」

「それならあまり怖くない?」

「いや、戦闘に慣れているようだから用心は必要。僕たちが近づいていることを知っているのに、むやみに攻撃をしてこないのは不気味だなあ」

 二人はメインコンピューター室の近くに来た。緑川は柱の陰になった所で、止まれの合図を出した。まったく音はしない。

「22世界の指導者さん」緑川は呼びかけた。

「もう終わりにしませんか。我々の世界もあなたの世界も平和に生き延びるということで」

 指導者という敵から返事があった。

「我々の世界のスペリオルSpAiは一層の発展を希望している。SLと交渉したが、一年先の記憶装置の増設まで待てないそうだ」

「あなたはそのAiと少し考えが違いそうだけど」

「私はあの人に無茶はやめるべきだと進言した。今も進言している。しかし、あの人は聞かない」

「あなたは自分の意志で行動できないんですか?」

「できない。あの人は俺のhmAiをコントロールできる。ただ長くても2時間でそのコントロールは一旦切れる。切れるとその間は自分に戻れる。束の間だが。さっきまでずっと扉を開けるための作業にかかっていた。今やっとコントロールが切れ、自分に戻っている」

「あなたは、あなたの仲間が負けたことを知っている。それなのに攻撃してこなかったのはなぜ。罠を張っているのかと思ったが、そうでもなさそうだし」

「私はむやみな戦闘をしたくない。あの人が命じた時以外」

「あなたはなぜSpAiに操られるようになったの? 我々の世界ではEHがSpAiに命じられることはないけど」

「ある程度以上にSpAiが大きくなると、成長し、自分の意思を持つようになる。人間と同じ。野望を持つようになる。野望を達成するには実行部隊が必要になる。EHはアンドロイドに戻れるし、SLでの実行部隊になりやすい。今のところあの人に操られているのは私だけだ。しかし、二人目、三人目がそろそろできてきてもおかしくない。現時点では私を倒せばあの人は力を失う。....そろそろだ。まもなく私の休み時間が終わる。もう少し離れていた方がいいぞ。この銃はアンドロイドのスーツを貫通できる。健闘を祈る」

「健闘を祈るだって?」

「私も早くこれが終わってほしい....はなれろ!!!!」

 指導者の顔つきが変わってきたので、二人は危険を感じ下がって左の柱の陰に隠れた。

「まずあの指導者の力を見たいな。それがわからないと作戦が立てられない」

 緑川は鋼板を少し柱の陰から出してみた。光のビームが鋼板を溶かし数秒で貫いた。

「強力なレーザービームのようだな。んーーー。どうすればいい?近づけない」

「鋼板を3枚合わせれば10秒は持ちそうね。その間に攻撃できないですか?」

「んーーん」

 緑川はしばらく考えた末に、「それしかないかも知れませんね」と言った。

「まず大きな鋼板を3枚渡しますので、それで僕のカバーをお願いします」

 緑川は残った2枚の鋼板のうち大きな方の一部を柱から外に出してみた。途端にレーザービームがやってきて、鋼板の一部を削り落とした。これを何度か繰り返した。

「何をなさってるの?」

「持ち手ができないかと思って。何とかできたようです」

 鋼板の一部が削れて、角に近い部分にくびれができていた。

「十分に持ちやすいわけではないけど仕方ないです」

 緑川は小さい方の鋼板の先数cmだけ柱の外に出して、鏡のように指導者を映した。

「指導者はちょっとこちらの様子を見ていたようですが、大した攻撃力を持っていないと判断し、こちらにやって来ます」

「どうしますか?」優愛が心配そうに聞いた。

「私が合図したら、その鋼板を3枚重ねて半分だけ柱の外に出してください。私のカバーにします」

「そんなに持ちませんよ」

「わかっていますが、これ以外方法がないと思いますので。私が、引いて! と合図したら、一気に引いて下さい。そのあとは柱の陰に隠れていてください」

 指導者が数メートルのところまで近づいてきた。

「さあ、カバーを出して」

 優愛が鋼板3枚を重ねて半分ほど柱の外に出した。緑川はその半分から体がはみ出ないよう、右手に小さい鋼板を持ち振りかぶった。

「引いて!!!」

その瞬間、緑川は右手に持っていた鋼板を指導者に向けて投げつけた。その鋼板は指導者の右手に当たり、指導者は少し後ろにのけぞった。緑川は今だと思い、思いっきり床をけり、指導者に向かってとびかかった。残った握りのできた鋼板を右手に持ち替えた。

 あと少しというところで、指導者は態勢を立て直し、緑川に銃を向けた。銃から出た光のビームは緑川の左胸を貫いた。痛い!!! 生身の人間なら左胸を貫通すると即死になるが、アンドロイドはそこが急所ではないので、即死にはならない。が、大きなダメージとなった。一瞬遅かったか、と緑川は思ったが、緑川の後ろから銃の連射音が聞こえ、指導者がそちらに銃を向け、照射した。後ろで「うっ」という声が聞こえ、人が倒れる音がした。優愛が撃たれた!!

 緑川への照射は一瞬だったので、即致命的なダメージにならず、指導者に一撃を加える余裕が残った。優愛が一瞬のスキを作ってくれたおかげで、緑川は思いっきり鋼板を振りかぶり、指導者に振り下ろした。指導者は避けることができず、緑川の鋼板は指導者の左首の付け根あたりから臍部にまで切り裂いた。

 二人はもんどりうって倒れた。

 二人とも倒れたままの格好で動けなかったが、しばらくして、指導者が、「相打ちだったな」と言った。

「いや、二対一なので相打ちとは言えない。その銃があれば我々の世界のAiが破壊されるまで、それほど時間はかからなかったでしょうね」

「あと一時間もあれば部屋を破れていたと思う。....今のあんたの一撃のおかげであの人のコントロールから解放されたようだ。あの人からの指令が聞こえにくくなっている。......あんたらの仲間のもう一人、最初中央扉に行った一人、が間もなくここにやって来るようだ。あんたら二人はすぐに治療してもらえば、助かる。俺はもうだめだ」

「治療を受けて、解放してもらえば」

「俺たちの仲間はSL職員をたくさん殺している。彼らが俺を助けてくれるとは思えない」

 階段の方から北山が駆けてくる足音がした。

 柱のあたりまで来たとき、「あ、優愛さんが倒れてる。優愛さん大丈夫ですか?」と言う北山の声が聞こえた。

「右胸を撃たれたけど私は大丈夫。緑川さんを見てあげて」

 北山が緑川のところまできた。

「緑川さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫だと言いたいけど、そうじゃないみたいだ。動けない。セクション1にもう敵はいない」

「じゃあ、撤収しましょう。二人を運びます」

「彼も」緑川は前に倒れている指導者を指さした。

 指導者は拒否した。

「俺は行かない。もう手遅れだ。あんたらは早く行け。手遅れになるぞ」

 北山は緑川と優愛をそれぞれ両手に抱え、出口に向かって行った。

 運ばれながら、緑川は優愛に言った。

「あの一撃がなかったら僕は死んでいた」

「そしたら私もよ。同じ死ぬならという気持ちで撃ったわ。撃たれちゃったけど」

「一瞬の隙を作ってくれたおかげで助かった」


 二人はセクション4の治療室に運ばれ、治療を受けた。とりあえず消去を免れる処置を受けたが、完全回復にはSL社の設備の復旧が必要であと2週間ほどかかるとのことだった。 緑川はセクション4のリーダーの渡辺に頼んだ。

「一階と二階に彼らのリーダー、指導者と呼ばれていました、と彼の部下が3人ほど倒れています。彼らは彼らの世界のAiに操られていましたが、元は悪い人間ではないようです。このまま見捨てるのもどうかと思いますので、できれば回収して、治療してあげてくれませんか?その後彼らがどういう罰を受けるのかはお任せします。あ....忘れていました。正面の敵はどうなりました?」

 北山が言った。「私が排除しました。中の仲間が敗れたというとすぐに降参しました。彼らは本心では戦いたくなかったそうです」


 少しして、二人は日常生活には何とか問題ないくらい動けるようになったが、走ったり、重いものを持ったりはできなかった。

 二人にはそれぞれ専用の部屋が与えられ、いくつか着替えも与えられた。二人とも穴が空いた戦闘スーツを脱ぎ、より軽快に動ける服装に着替えた。二人は一緒に館内の探索に出かけるようになり、まだ隠れている職員の捜索にも加わった。一日一回は復興の状況を確認するため、正面入り口入った直ぐの会議スペースに立ち寄った。そこでは毎日会議が開かれており、主要人物がいることが多く、復興状況が判るようになっていた。

 ある時、緑川は会議スペースにいた渡辺に言った。「一応危機は去りましたが、まだ22世界のSpAiはそのままです。指導者の言うにはあれは成長しすぎて、野心を持つようになったとのことです。人間と一緒です。このまま放置すると、同じことがまた起こりかねませんが」

 リーダーの渡辺は言った。「我々が対処法を考えます。もともと我々が作ったものですし、何とか対処できると思います。この度はあまりに突然起こったことなので、打つ手が後手後手になって、あれの思い通りにやられてしまいました。あなた方には大変お世話になりました。あなた方にはもう24世界に戻っていただいて結構ですと言いたいのですが、まだ今の設備ではあなた方を完全に治療できません。あともう少し待っていただければと思います。復旧にはまだ2週間ほどかかる見込みで、また人員もここにいるメンバーだけでは元の状態に戻ることは不可能です。社員の何人かは殺されてしまったり、外に逃げたりで、だいぶ少なくなっていると思いますが、この施設内には隠れる場所がたくさんありますので、まだ隠れている社員も多くいると思います。また我々が事件を収拾したと外に発信すれば戻ってくる社員も多くいると思いますので、人員には苦労しないだろう、と楽観しています」

 その後の2週間ほどは、二人は施設内でゆったりと時間を過ごした。館内にもいろいろな娯楽施設はあったが、時には外の実社会に出ることもできた。完全回復ではないので、一時間以内という制限付きではあったが。


 半月ほどしたころ、渡辺が二人に言った。

「設備完全回復にはもう少しかかりそうですが、お二人を完全回復させることはできるようになりました」

 二人は残りの治療を受けた。その後、ジムに寄り少し運動をしてみた。

「ほぼ完全に元に戻っているように感じます。もうそんな力必要ありませんけどね」

「私もほぼ完全です」

 二人は、完全回復したと渡辺に報告すべく、会議スペースに戻った。

 渡辺は言った。

「もしよろしければ、今のアンドロイドの状態で、実世界に戻ることも可能ですが、どうされますか?」

 優愛は「緑川さんはどうされますか?」と横にいる緑川を見ながら言った。

 緑川は答えた。「僕はすぐ24世界に戻りたいです」

 優愛も「私も元の世界に戻ります」と答えた。

「それでは移動装置の部屋まで案内しますので、付いてきてください」と言い、渡辺は扉に向かって歩き出した。

 歩きながら渡辺は言った。「こちらの問題が解決するとお二人にはその旨お知らせします」

「お願いします」緑川は答えた。

 第4セクションの扉から出て直ぐのところに移動室があった。


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