古代機神になりました。底知れない最強キャラ目指してます

虚言ペンギン

プロローグ 『男の子なら、誰もが必ず憧れる』

 ──最強キャラ。


 古今東西あらゆる創作物には、最強と目される存在がいる。


 物理最強、魔法最強、最強の能力者に最強の武器の使い手……etc。


 もはや、ラブコメやゆるふわ系の癒しアニメにすら“最強”を見出す人も居るくらい、その概念は普遍的で、作品とは切っても切り離せないものだ。


 最強というのは、いつの時代も人の心を惹きつける。特に男の子なら、誰もが一度は憧れたことがあるだろう。


 当然ながら、僕もそうだ。


 保育園児の時に見たヒーローものに始まり、漫画、アニメ、映画など、あらゆる作品の最強を、僕は追い続けてきた。


 しかしどうやら、世間ではいつまでもロマンを追い続ける人は変人、という認識らしい。


 高校生までは、通学中に友達と少年漫画の最強キャラ論争で盛り上がっていた。


 大学生になってからは、漫研サークルの居たオタク友達と一緒に、最強キャラの二次創作小説を書いたり、一から漫画を考えたりした。


 そして、社会人になってからは、かつての友達は皆疎遠になり、たまに会ってもするのは仕事やお金、家族の話ばかり。


 時々アニメの話をすることもあったが、誰も原作まで追って最強キャラについて考察する人なんか居なかった。


「くそぉ……こんなのおかしいじゃないか……! どうしてそんな簡単に憧れを捨てられるんだよぉ……!」


 僕は一人、飲み会終わりにビルの屋上へ忍び込んでいる。


 こうして夜の街並みを高台から見下ろしていると、なんだか憧れの強キャラに近付いたような気がする。


 酔いも回り、フワフワとした気分のまま、手摺を跨いで屋上の縁に立ってみた。


「決めた……決めたぞ……僕が、みんなに最強キャラへの憧れを、思い出させてやる……! 待ってろよぉ、みん──なぁぁぁッ!?」


 酔いに任せて気持ち良く行っていた宣言が、情けない悲鳴に変わる。


 僕は今、風になっていた。ちょっと気持ちいいかもいやいやそんな事かんがえてる場合じゃちょっと待って待って待って──!


「──おわぁぁぁぁぁッ!?!? あっ、これガチでやば」


 べちゃり。


 意識が消失する中、頭蓋の割れる音がやけにハッキリと聞こえた。

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