第23話「第二のBOSS戦」(前編)
「よし、そろそろ次のBOSS戦にいくわよ!」
はつらつとしたエリシャが、自分の隠れ家的なロッジ風の、茶色を基調とした店内のカウンター奥でPTのみんなに宣言する。
カウンターに座るゼクロスは「PTの人数も増えたけど、どういう編成で行くんだ?一度にいけるのは6人までだよ」
といったので、エリシャは思案顔になり、
「ゼクロスとローザ、クレイドは外せないわね。私も行くし、後二人ね」と言い、さらに考えて、
「…メルはメインストーリーに興味がないって言っていたから、ウェルトとライナスかしら」
名前の挙がったライナスは、しかし、手を振って、辞退の構えを見せて、
「僕もまだBOSS戦に行けるほどLV上がってないですし、どちらかというと、普通のMAPで狩り派なので、ここは候補からはずしてください」と頭を振る。
そこに、2階から降りて来たルーシアが、「私が行きます!」と彼女にしては珍しく毅然として名乗り出る。
ゼクロスは優しくそれを諭すように、
「今回のBOSSは、パペットマスターの道化師BOSSヘルクラウンだ。正直、どんな手を使ってくるかも読めない。俺としては、ルーシアを危険な冒険には出したくないんだ」
しかし、ルーシアの決意は固いらしく、再び、2階に行くと「錬金術」と「鍛冶屋」のスキルの複合で作った魔法アイテムの、フル装備で降りて来た。
「投げると、強引なまでの命中補正で命中する「エイムダガー」」
「宙に浮かべると、自動で敵に斬りつける「踊る剣」」
「一定回数、攻撃を無効化するバリアを張る「シールドバリアローブ」
さらに、様々なマジックアイテムを出し入れできる「無限のポーチ」
どれも、皆が冒険中に、大商人のルクバートから得たGPをもとに自分で作った魔法のアイテムである。
このアイテムの説明に、エリシャは感激して「凄いわルーシア!これならどんな敵にも対応できるわ。頑張って一緒にBOSSを倒しに行きましょう!」と少し興奮気味である。
ゼクロスも「どうやら決意は固いようだね。クレイドを守りにつけるから、BOSS戦に一緒に行こう。ただし、あまり無理はしないで欲しい」と同行を同意しつつ、気遣う感じのを発言する。
この時、クレイドも、ソルジャーの装備を一新していた。メルの作った良質なヘビーメイスにチェインメイル、シールドと、少しプリーストの装備に近い。クレイド曰く、
「昔の中世の戦士は、こういうスタイルで戦った人も多いらしいから、参考にしてみた」そうである。
ウェルトも、良質なショートボウとショートソードをメルに作ってもらっていて、戦力的には十分いける、とゼクロスは判断して、相談を重ねて、結果このPTで、2番目のボスに挑む事になった。
☆
2番目のBOSSは、ジルドの東にある丘陵地帯をさらに東に行った所にある館であり、ジルドの町に行き「狂暴なパペットが、旅人を襲って困っている」というNPCの依頼フラグを立てて、
ゼクロス達は、ジルドの町の東、丘陵地帯を越えて、木でできた、メイスを持ったパペットの群れが守る、「ヘルクラウンの洋館」が見える所までたどり着いた。
偵察に出た、斥候役のウェルトが「どうやら入口は、正面の扉だけのようだ」といったので、ゼクロスは、
「じゃあ、周辺のパペットを掃討して、館内部に入ろう。といい、ローザも「それがいいわね。このさい殲滅しちゃいましょうよ」と強気である。
そして、まず館の周辺のパペットと戦闘に入るゼクロスPT。
「一気に行くぞ!」と気合を入れたパラディン、PTリーダーのゼクロスが「トライスラッシュ」での3回の斬撃で、パペットの一体を倒すと、
「……」
アサシンのウェルトも、無言で、良質なショートソードでの「クリティカルスラッシュ」をパペットに見舞う。
ダークナイトのローザも「また毒も麻痺も効かない相手ね、やりずらいわ」といいつつ、バスタードソードでの「ダブルスラッシュ」での2回の斬撃をパペットに加える。
「少し数が多いけど、やるしかないわね」
エリシャは良質なロングボウで「トリプルショット」の3回攻撃で鉄の矢をパペットに射かける。それは、多少外れることもあったが、ほぼ安定してダメージをパペットに与えていった。
「新しい、装備とスキル、受けてみろ!」
ソルジャーのクレイドもルーシアに近づく相手に良質なメイスで、打撃スキル「ハードクラッシュ」を見舞い、パペットを打ち砕く。確かに槍より、戦槌のほうが、ここでは有効ではあった。
パペットもメイスで反撃するが、その動きは鈍く、メイスでの攻撃も大振りなものであったので、容易にかわせて、ダメージもあまり受けずに、館の外のパペットは、ゼクロスPTの前に、ほどなくして掃討された。倒されたパペットは、例外なく、黒くなってかき消えた。
☆
館の中は、意外とシンプルな造りで、正面通路の左右に幾つか小部屋があり、正面には、2階への階段がある。
ゼクロス達は、小部屋の木製パペットも、丁寧に倒したので、ややSP不足に陥り、1Fを制圧すると、小部屋の一つでスタミナポーションを飲んでSPを回復した。HPはゼクロスがヒールで癒した。
そして、階段から2階に上がると、大きな両開きの扉の前に出る。
ウェルトは扉を調べて「鍵はないな、おそらくこの奥がBOSS部屋だ」と冷静にゼクロスに告げる。
「じゃあ、ポーション類で、HP、SP、MPを全快にして、挑もう」とゼクロスが判断して、PTの皆も頷く。
…そしてこの後、ポーション類で全快したゼクロスのPTは、2番目のBOSS、「パペットマスター」の「ヘルクラウン」と対決する事になるのであった…。
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