主人公の部屋の散らかり方、眠れない夜、note に投稿して「スキ」がつく瞬間の小さな救い──どの描写も驚くほど解像度が高く、ただの設定ではなく“生活の手触り”として迫ってきます。創作という行為が、慰めではなく、自分の内部をそのまますくい上げるための唯一の手段だったという描かれ方がとてもリアルで、読みながら胸の奥がじんわり動きました。物語を書くとは、誰かに向けた言葉である前に、自分自身をつなぎとめる行為でもあると気づかされる作品です。
創作意欲、それを書き立てる物語は、自分の中にある自分の姿。私には深く刺さる物語でした。きっと多くの人に刺さると思います。