第13話 解体と鑑定
アンリの案内で、討伐した五十体以上のオークを納品するため、解体場へ向かっていた。
そうだ、ついでに武器を鑑定できっかきいてみっか。
「アンリさん、武器もあるんだけどさ、鑑定できるか?」
「武器ですか?できますよ。······ちなみにいくつあります?」
「武器も同じくらいなるな。武器のことは、余りよく知んねぇからなんとも言えねぇけど、ほとんどが棍棒で他は剣やら槍やらで、珍しいのはキングが持ってたやつと、側近が持ってた二本くれぇかな?」
「······わかりました。細かいことは、鑑定士さんとの相談ですね。」
アンリは苦笑いをしながら答えてくれた。
「ここですね。」
「ここって昨日、模擬戦したところじゃね?」
あたしが連れてこられた場所は訓練所であった。
「はい、ここ以上に広さはこのギルドには無くてですね。今回のような場合は、ここを使うことになっています。······それではシノブさん、只今解体職員の方と鑑定できる職員を連れてきますので、しばらくお待ちください。」
アンリはお辞儀をして訓練所から出ていった。
暇だしな、武器でも分類別に並べてっか。
あたしは邪魔にならない壁際行き、【収納】から武器を出し始めた。
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棍棒×20
剣×5
槍×15
斧×10
鎧×30
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こんなもんか、残りはそんときでいいだろ。
あたしが並べて終わったときに丁度よくアンリが戻ってきたようだ。
「お待たせしました。」
「あいよ」
アンリの後ろには、がっしりとした男性達が数十人がいた。
「では紹介しますね。こちらの方達が解体をしてくださる方達です。」
「俺が解体の指揮を取ってる。アルベールだ。親方とでも呼んでくれ。今回はオークが大量だと聞いた!嬢ちゃんが倒したんだってな、解体なら俺達にまかせな!」
筋肉隆々な中年男性が手を差し出してきた。
「おう、よろしくな。」
2人は握手を交わした。
「次はこちらの方達が鑑定をしてくださる方達です。」
こちらは、いかにも学者気質といった外見の男性であった。
「私はニコラスと言います。今回武器の鑑定と聞きましたが、オークの鑑定もしていきますので、よろしくお願いします。」
「よろしく。」
挨拶も終わり、作業に取りかかることになった。
「それでは、私は先に武器の鑑定をするとしましょう。あちらに出しているもので、間違いありませんか?」
ニコラスは壁際に置いてある武器に視線を向けた。
「ああ、あれの鑑定が終わったら別に観てほしい武器があんだ。そっちが今回の目玉だから、終わったら声をかけてくれ、その時に出す。」
ニコラスは『承知しました』と武器の方へ向かっていった。
「嬢ちゃん、あっちにシートを敷いたからよ、早速出してくれ。」
「全部出していいのか?この後、用事があっからさ。」
「全部はキツいな。一体を二人でやるとして、俺をいれて十五人だ。今日半分は、終わらせる予定だからよ。シートが七枚有るから、それぞれに置いてくれ。残りは大きいシートを敷くから、そっちに二十体ほど置いてくれ。」
あたしは言われた通りに置いていき、残りは氷室に運ぶように言われ、アルベールの後に着いていき言われるままにオークを仕舞っていった。
「それにしても、マジですげえんだな。あれってキングとジェネラルが二体だろ?よく倒したな。」
ジェネラル?そんなのがいたのか?
「ジェネラルってなんだ?」
アルベールは絶句していた。
「おいおい······嬢ちゃん嘘だろ?なにも知らないで戦ったのか?······ジェネラルってのはキングの側近だ。近くにいただろ?キングの次にでかい奴が二体。」
ああ······アイツらか
「いたな、キングに嫌々、あたしに戦いをけしかけられてた奴が二匹。」
「······は?嫌々けしかけていた?どういう状況だそれ?ジェネラルがキングの命令に従わなかったのか?」
「従わねぇっつうより、あたしが他のオークを瞬殺したことでビビッちまってたな。」
「·········あはははは!」
なんだ?
「何、爆笑してんだ?」
丁度、訓練所の入口付近での会話だったこともあって、作業をしていた人達も『何事か』と作業をやめてしまった。
「オラ!オメェらは作業に集中しろ!」
アルベールに怒鳴られ、『すみません!親方!!』と各々作業に戻っていった。
「いや~、嬢ちゃんすまんすまん。嬢ちゃんみたいな別嬪に、畏縮するジェネラルを想像しちまってよ。ツボに入っちまったぜ」
「別嬪ってオメェな。煽てたってなにもでねぇぞ」
「なんだ?嬢ちゃん自覚無しか?」
「自覚もなにも、故郷では全く無かったしな。それに男に言われても嬉しくもねぇ。」
「ほう、嬢ちゃんはそっちか、男としてはもったいねーな。ガハハ」
「故郷で待たせてる奴がいてな。早く帰りてんだ。」
「苦労してんだな。だったらまかせろ、キングは俺が解体してやるからな。品質を上げて、値段をあげてやるからよ。聞いた話だと、他のオークは今回、参加した奴に分けるんだろ。嬢ちゃんも太っ腹だな。」
「親切でわけるわけじゃねぇ!ってか誰が太っ腹だ!コラぁー!!」
「ガハハハハ、じゃあな、明日の夕方には解体終わってると思うからよ。」
アルベールは笑いながら手を振り解体に戻っていった。
丁度、鑑定が終わったらしく、ニコラスがこちらにやってきた。
「終わったのか?」
「はい、終わりました。どれもオークが使っていたからか、刃はボロボロでしたが、素材がいいですからね。鎧もありますし、あれだけあれば、値段だけみれば悪くはないでしょうね。」
「じゃ次はこれだな。」
あたしは【収納】から巨大な斧と歪曲した刀剣をそれぞれ出して見せた。
「これはなんと!先ほどの武器とは話になりませんね。それにしても、よく片手で両方持っていられますね。確かに今回の目玉です。では、観させていただきます。【鑑定】」
『【完璧投影】発動、スキル【鑑定】を覚えました。』
二回目の【完璧投影】が発動した。
ほう【鑑定】か、これはかなり便利じゃねぇ?試しにあたしもやってみるか。
あたしは覚えたばかりの【鑑定】を早速使ってみた。
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武器名
:血染めの斧
能力
:相手に攻撃を当てると使用者の傷を癒す
:使用者の血を武器に吸わせば爆発的な威力を放つ。
ただし、武器に認められなければ逆に使用者の生命を蝕む。
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武器名
:シミター
能力
:相手の防御を貫通する性能を持ち攻撃を当てれば傷を癒してくれる。
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あたしは自分で鑑定した結果に、苦笑いをした。
シミターは呪われているがさほど危険でもないな。
ただ単に強い武器か。
問題は斧だな。
あたしに都合がよすぎる武器!これがご都合主義ってやつか。
確認が終わり、視線をニコラスに向けてみれば、彼はスゴい形相で、武器を見つめたまま、固まっていた。
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