第2話

どうやら私は独房に入れられた様だ。警察官は私が独房に入ったことを確認すると看守と話をし始めた。引き継ぎ作業だろうか。5分ほどで2人の会話は終わり警察官は去って行った。学校に行かなくてはならないのに刑務所に入れられてしまうなんて、、、。まあいいか。刑務所にいる間は学校とかいう1日中私の大の苦手な集団行動をしなくてはならない場所に行くことは無いだろうし。それとも両親が刑務所まで私を迎えに来るだろうか。いや、来ないだろう。父・顔流(かおる)は単身赴任でこの街から遠く離れた場所で仕事をしていて半年に1度しか帰って来ない。私の母・紫苑は医者をしている。2人共仕事人で忙しいので私の事など迎えに来ないだろう。劣等生物の娘より社会的意義のある仕事の方が大切に決まっている。私は暇なのでとりあえず勉強をすることにした。幸いにも看守にリュックを取り上げられなかったので自分のリュックの中にある英語の教科書を取り出した。私は勉強をするのがそこまで嫌いではない。勉強をしている間は人と話さないで済む。人と会話をとることが苦手でも勉強が出来れば少しは人の集団に馴染めるはず。私にとって勉強をすることはいわば人間社会で生きる努力をすることなのだ。

1時間ほど経っただろうか。1時間も勉強していたら流石に休憩をしたくなる。とは言ってもこの部屋にはあいにく息抜きできるようなものは無い。

(この独房からこっそり少しの間抜け出したいな、、、)

そう思って独房の扉を人差し指1本分ほど開けてみた。その隙間からゆっくり外を覗いてみる。(!?!??)

なんと外には看守はいなかった。これはチャンスだ。息抜き代わりに少し外を探索してみよう。私はゆっくり忍び足で独房を抜け出した。

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