うさぎの俺は見た! 異世界の悪事を暴くもふもふ探偵旅
雨宮 徹
第1話 領主のベタな不正と、ニンジン3本分の金塊
領主様が金の延べ棒を隠す音は、カリカリとニンジンをかじる音よりも、どうにも耳障りだ。さっきから「これで私は億万長者リストに載るんだ」と村の金庫から、せっせとカバンに入れている。「その大きさで大丈夫?」と、見ているこちらが心配したくなる大きさ。たぶん、ニンジン三本しか入らない。人間は、愚かな生き物だな。まあ、俺も元人間だけど。
しかし、金の延べ棒数本で億万長者リストに載れるのだろうか。それだけでリスト入りなら、この国の経済界は小規模ということになる。旅してきた中でも、かなりの小国になる。異世界では経済感覚が違うのかもしれない。なにせ、俺はいつの間にか異世界に転生していた身。諸国を旅していても、金銭感覚はさっぱり分からない。ニンジンが銅貨一枚の価値ということは知っているけれど。命にかかわるので。まあ、もふもふさせれば人間が貢いでくれるので心配無用だ。
お、どうやら領主様も一仕事終えたらしい。ハンカチで汗をぬぐうと「これで親戚に自慢できるだけの延べ棒が集まった」と独り言。ちょうど、俺もニンジンを食べ終わったところ。さあ、もふもふさせるから人参をよこせや。机の陰からサッと姿を現す。
「何!? 誰かに見られていたのか! って、うさぎか。驚かすなよ。すまんがニンジンはないのでな。また、今度やるよ」
さいですか。その今度とはいつやねん。明日? 一週間後? それとも、領主様が牢獄にぶち込まれる日? あ、牢獄行きは確定ね。俺、うさぎだけど、名探偵だから。
さて、本領発揮といきますか。悪事を暴いて強力なキック力で成敗する。俺は、うさぎに転生して良かったかもしれない。超強化されたキック力で日ごろの憂さを晴らせる。
俺は、領主様の足にすり寄る。「無害ですよ」とアピールするために。案の定、「かわいいでちゅねー」と領主様。間抜けなことこの上ない。人間はうさぎへの警戒心がない。情報収集をするにはもってこいだ。さあ、領主様を牢獄にぶち込むお手伝いをしましょうか。
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