謁見

襲撃の後、ようやく帝都に着きました。


「ここがグラン帝国の帝都グランアースです」


そこは今までの帝国内の街とは全然違っていた。

いたる所に大きな鉄の車輪が回って、帝都中の建物に魔力を送っていたり、城壁が石と鉄で作られており、その城壁の上にはあの魔導砲が配備されていたりと『外部』からの襲撃に備えているのがわかった。中に入ると全体的に建物も高く大きく作られていた。


「なんかハイテクだけど、景観が寂しいね」

「便利さを追求した結果、二世代前の皇帝よりこのような形になりました」


馬車はゆっくりと街中を走った。


「街中は大丈夫なの?」

「流石に警備兵の衛兵もいますし、城には騎士団も常在しておりますからな。よほど腕に自信があるか、捨て石になる覚悟を持っているか………まぁ、絶対に安全とは言えません」


まぁ、すでに弱い結界を馬車に張っているから奇襲されても大丈夫なんだけどね。


「確かに人混みに混じって襲撃されると厄介だな」


ジークとレオナは街の人々に注意を払いつつ馬車は城に向かった。

幸いにも街中で襲撃されることはなく無事に到着した。


「はぁ~疲れた」

「同じく」


常に気を張っていたジークとレオナは疲れ切っていた。

しかしずっと留まる訳にもいかず、クリア宰相の案内でお城に入りました。

入口から入ると目の前には大きな長い階段が上まで続いていて、そのまま登ろうとした所、宰相さんに止められました。


「アレ?このまま階段で上がるんじゃないの?」

「一般の商人や騎士はそうですが、お客様や爵位が伯爵以上の方はこちらの『昇降機』を使います」


まさかこの世界にエレベーターの技術が確立されていたなんて!

帝国、恐るべし!

シオンは帝国の技術力の高さに警戒を強めた。

一国が他国より百年以上もの先の技術力を持っていたら大陸統一も不可能ではなくなるからだ。

技術力とはまずは戦争に役立つ技術から進んでいくのが世の常なのだから。


昇降機で上に昇ると謁見の間の扉の横に出られた。

流石に王様・・・ここでは皇帝か。国のトップのいる部屋の中には作らないよね。

扉の左右には騎士が守っており、宰相さんをみると扉を開けてくれた。


「では、どうぞ。ついて来てください」


そのまま中に入ると、初めてくる人は圧倒された。

天井にはフレスト画が描かれており、空の絵に天使や女神様か描かれていた。まるで祝福を授けているような絵で、柱にも彫刻が彫られており、金細工が見事だった。


「おおっ、圧巻されますね~」


奥の金で出来た椅子には皇帝が座っていたが、シオンは天井を見上げ続けた。

コソッ

「シオン、皇帝陛下の御前だぞ。早く膝をついて」


シオン以外は部屋の真ん中辺りで宰相が止まって臣下の礼を取ったので、膝を付いて顔を伏せていた。


「くくっ、ワッハハハハ!!!!!これは愚弟に聞いた以上の逸材ではないか。俺より天井が気になるとはな」


目の前にはルリちゃんの髪を短くした感じの男性が笑っていた。

おっと、夢中になって見入ってしまったよ。

シオンもそのまま膝を付いて頭を下げた。


「失礼しました。余りにも見事な絵と装飾品だったもので」

「よい。ここは各国の要人を招いて話をする場所だからな。他の部屋より金を掛けているのだ。我が帝国が侮られぬようにな。そういう意味では成功したと言える。それとクリア宰相、危険な任務ご苦労だった。お前の献身には必ず報いよう」


「もったいないお言葉ありがとうございます」


「さて、時間も惜しいので本題に入ろう。表を上げて楽にしてくれ。俺の名はバルト・グランだ。現皇帝をやっている。それで大悪魔を退けた『英雄』の力を借りたいのだ」


シオン達は顔を上げると、シオンとヒジリが違和感に気づいた。

そして皇帝が話そうとする所を手で制した。


「なんだ?」


シオンは人差し指を唇の前に持っていき、静かにしてねのポーズを取った。


「シオンお姉様、あの柱の上です」

「うん、ヒジリちゃんも感覚が鋭くなってきたね。私がやるよ」


シオンは手をピストルの形にして『撃った』。手から聖水が水鉄砲のように発射され柱の上にいた『モノ』に当たった。ドンっと柱の影からあるモノが落ちてきた。


「これは・・・!?」


目玉の魔物である。聖水が掛かって黒い煙を立てながら消滅した。


「多分、盗聴用の魔物だと思うわ。ヒジリちゃん、結界をお願い」

「了解です!聖女結界展開デス!」


聖なる結界が謁見の間に広がった。


「これで魔物がこれば弾かれますし、無理に入ろうとすれば結界が反応してわかります」

「まさか、こんな魔物がいるとはな。それでこの結界はどれほど持つのだ」


結界の維持には魔力が必要である。


「それなんですが、この移動用の小型の魔導具を核として魔力を込めれば毎日維持できます。椅子の横か後ろに置いておけば、皇帝陛下の魔力量なら椅子に座る時に魔力を込めれば問題ないかと思います」


「なんと!帝国でも移動用の結界の魔導具はありますが、ここまで小さいものは初めて見ましたぞ。これも発明姫が開発したものですか?」


だから発明姫ってどこの誰が言っているんだよ~

自国では呼ばれたことないのに!


「そうですね。構想を紙に書いて技術者に作ってもらったの。流石にもの作りの才能まではないからね」


いやいや、その発想が凄いんですがと宰相と皇帝は思った。


「しかし盗聴用で助かったな。これが敵の刺客なら死んでいたかもな。シオン令嬢のお陰で数日は生きていられそうだ」


「物騒なことを言わないでください。だから宰相さんが私達を迎えに行く情報も漏れていたんですね」


しかし厳重な警備の城の中でも油断できないとは。


「シオン様、もしくはヒジリ様、バルド皇帝陛下の寝室にも結界を張って頂けないでしょうか?この小型の結界魔導具はまだありますか?言い値で買わせて頂きますので」


キュッピーーーン!!!!!

金の亡者のシオンが反応した。


「まだあるから大丈夫だよ。でも、販売するほどは在庫はないかな?」

「それならせめてもう一つ買わせてくれ。宰相の寝室にも置いておきたい」


皇帝の言葉にシオンは少し笑った。


「本当に大事にされているんですね」


シオンの言葉に宰相は笑っていたが、皇帝は恥ずかしそうに横を向いた。


「爺やは俺たちが生まれた時から仕えてくれているしな。俺たち兄弟の教育係でもあるし、信用できる大事な・・・家臣だからな。ただそれだけだ」


おや、ツンデレですかね?

微笑ましくシオンは皇帝を見詰めるのだった。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る