旅には定番の(ヒャッハー!)
翌日、午前中は町を少し観光して、昼前には宰相さんと合流してグラン帝国の帝都に向うことになりました。
流石に護衛の騎士が10名ほどいて馬車の左右と前を馬で移動しながら守っています。
「別に私達の馬車まで護衛しなくても良いのに」
そう、前には宰相様の豪華な馬車が走り、その後ろをシオン達の帆馬車が付いていく感じで走っていました。
そして───
「これはすごい!この馬車はいくらほどで売って頂けますかな!」
宰相の馬車には替え玉を乗せて、本物のクリア宰相様はシオンの帆馬車に乗っていたのです。
腰痛持ちの宰相さんは低反発もどきのスライムマットをいたく気に入られたみたいで、購入したいと言って来ました。
キュッピーーーン!!!!!
お金の話になってシオンの目が変わった。
「流石に馬車は売れないけど、このスライムマットなら販売できるよ。いつも座る椅子の背中やお尻に敷く事で、身体の負担を軽くして長時間座っていられるようになるの」
!?
「素晴らしい!ぜひ、これを大量生産しましょう!バカ売れ間違いなしですぞ!」
「チッチッチ、それは考えてないの。自国では、わざと市場を品薄にして、貴族相手に高値で売る戦略をしているから」
「な、なるほど。商売上手ですな。それでいかほどなのでしょうか?」
「だいたい1メートル四方の大きさで金貨1枚で販売してたよ」
元がスライムの粘膜を使っているから高くても銀貨1枚ぐらいの材料費なんだけどね。
(銀貨10枚で金貨1枚の価値)
クククッとシオンが悪い顔をしていると、宰相はもっと斜め上のことを言ってきた。
「シオン様、あなたはもっと市場の事を調べるべきです!これほどの商品が1メートル四方で金貨1枚は安すぎます!せめて金貨10枚は頂くべきです!!!!!」
なんだってーーーー!!!!!!
流石に100倍の値段で売るのには抵抗があるなぁ~
「それだけ良い商品なのです。その値段にしても、最低でと言う話で、金貨15枚前後が適正価格だと思います。シオン様、この商品は切ってサイズ変更もできるのですよね?」
「え、ええ。スライムクッションを切って、布団に入れたりクッションの布に入れて使ったりできるから。そのまま使っても使えるけど、ゴムみたいな素材だからすぐに汚れるの。だから、布袋に入れて使う感じになるかな?」
「なら、5メートル四方のスライムクッションを金貨50枚で買わせて頂くので、優先して売って頂けないでしょうか?」
!?
「はい!喜んで!!!!」
シオンは二つ返事でマッハで答えた。
「ちなみに聖王国で量産を始めたマジック・ボートっていうのもあるんだけど、帝国でも売れるかな?」
カクカクシカジカと言う商品なんですがと説明した。
「これも素晴らしい商品ですな。馬と違い細い道も移動出来るし・・・」
『もし、戦争で馬の代わりに数を揃えれば──』
宰相はその考えを首を振って否定した。
「移動に役立ちますな。ルリ様以外に空を飛べる者は帝国にはいませんので、この技術に研究バカのルリ様が興味を示されるでしょう」
ルリちゃんの事をバカって言った!?
「これはどのくらい用意できますか?こちらは城の騎士団や、魔導士に意見を聞きながら購入を検討致します」
「今は10個ほどかな?もう少しすれば聖王国から購入できるよ」
「わかりました。取り敢えず実用性の確認のため10個購入させて頂きます。しかし、流石はアーノルド王国にその名を轟かせた『発明姫』ですな。帝国の上層部もシオン様の事を帝国に招きたいと前から思っていましたが」
発明姫って、自国じゃそんな風に呼ばれたことがないんだけど?
ジークも言っていたけど、本人の知らない所で二つ名が増えていっているよ。
またシオンは遠い目をして現実逃避した。
「少し調べるとすぐに判明しましたぞ?本人が表舞台に出たくないと思っていたので帝国に招待ができなかったのですがね」
正体を隠したかったのだろうが、ここはまだまだ子供だったので仕方がないだろう。宰相も少し苦笑いをしながら言った。
「それで───」
急に馬車が止まり振動が襲った。
「なにごと!?」
馬車の外を見てみると騎士が大声で報告した。
「盗賊です!」
前方では盗賊に馬車を止められたようで、騎士達が前に走って行った。
「ちょっと行ってみよう!」」
「えっ、ちょっと危ないですよ!?」
宰相は止めたがシオンは飛び出した。
外に出ると護衛の騎士は馬から降りて剣を構えて盗賊と対峙していた。
「ヒャハーーーー!!!!!」
「オラオラ、死にたくなければ金目の物を置いてけや!!!!」
も、モヒカンに、トゲトゲの衣服だと!?
世紀末キターーー!!!!!!
絶滅危惧種の世紀末だよ!
これは180度廻って、ちょっとかっこいいかも!?
盗賊は30人もの大所帯だった。数の上では劣勢である。
「少し数を減らすか?弓隊!射殺せ!」
盗賊の5人が弓矢を放ってきた。
「皆を守りたまえ。聖女結界!」
ヒジリちゃんが結界を張って守ってくれた。ってか、聖女結界って恥ずかしくない?もう少し良い言葉なかったの?
「なんだぁ?なら直接攻撃だ!かかれーー!!!!!」
盗賊は剣やナイフ、斧など構えて突っ込んできた。
「騎士の皆さん、ここは私達がやりますから」
今度はレオナとジークが飛び出して、盗賊の武器を一瞬で破壊した。
!?
『なんという速さ!私ではどう剣を振るって敵の武器を破壊したのか見えなかった!?』
宰相は想像以上の強さに目を大きく開けて驚愕した。
「さて、後はお前だけだぞ?」
配下の盗賊は武器を破壊され気絶させられた。残ったのはリーダーのでっぷり太った男1人だった。
「くそっ!俺はこの辺りでは名の知れた剛腕のハーゲン様だぞ!こんなガキどもに負けるはずがねえ!!!!」
ドシドシと巨体の脂肪を動かしながら突っ込んできた。
「はーい!次は私が行きまーす!」
シオンは手を挙げて前に出た。
「さぁ!来なさい!ハゲさん!
「ハゲじゃねぇ!ハーゲンだっ!小娘が!!!」
ハーゲンは大きな斧を振り被ってシオンを狙った。
シオンは珍しく拳を握って格闘のスタイルを取りました。
ドーーーーーン!!!!!!
大きな斧が振り降ろされ、地面に大きな傷を付けた。そう、シオンは紙一重で避けたのだ。
「なっ───」
「はぁーーーー!!!!!あちょっーーーー!!!!!!」
シオンは拳をハーゲンの大きな脂肪の塊に連打を浴びせた。シオンの連打でハーゲンのお腹は大きく引っ込み、うめき声を上げながら後方の大きな木まで吹き飛ばされた。
「お前はもう◯◯◯いる」
『一度、言って見たかったんだよね♪』
ストレスが発散されてルンルン気分で仲間達の元に戻った。
「シオン様は格闘もされるのですか?」
「うーん?嗜む程度かな?」
ただステータスが高いので、敵の攻撃を見切ったりできる程度だよ?
周囲の仲間達は、シオンが思っている以上に畏怖の念がこもった目でみた。
ガサッと音がすると、先ほどお腹をボコボコに殴ったハーゲンが手を付きながら立とうとしていた。
「オエッ………ま、まだだ」
「タフだな。腹の脂肪がダメージを吸収したのか──?????」
ジークは言葉が続かなかった。
ギギギッとシオンを見た。
「………シオン、何をしたんだ?」
ハーゲンをみたシオンも引きつった顔で答えた。
「なんでだよ~!ごめんなさい。まさかこんな事になるとは思って無かったよ~orz」
ハーゲンのお腹はシオンに殴られたことで、脂肪を燃焼させたようで、でっぷりしていた体格が細マッチョにクラスチェンジしていたのです!
しかも、渋めのイケオジになっていました。
「取り敢えずお縄にしよっか。はぁ~」
ハーゲンは自分がどんな状態になっているのか理解しないままお縄になったのでした。
ま、グロイ状態にならなくてよかったかな?
ちゃんと手加減したんだからねっ!
どうしていつも変なことになるのよ!
解せぬ!
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