バトル開始!
シオン達は悪魔が召喚されている部屋に着くと、妖精に時を止める秘術の解除をお願いした。
「ルゥ、お願いね」
「任せて!」
妖精は普通の人間には聞き取れない古代呪文を唱え始めた。
時間にして5分ほどだろうか、手を前にかざした妖精は全身で汗をかきながら呪文を唱え続けた。
そして───
パリンッとガラスが割れるような音と共に、時を止める秘術が解除された。
「みんな!行動開始だよ!」
「「了解!!!!!」」
周囲のエルフ達はシオン達を見て驚いた顔をした。
第一段階としてエルフの説得はレオナが担当することになっていた。
「れ、レオナ?お主どうして、いつ戻ったのだ・・・?」
「族長!話は後です!風の精霊よ!私の声を届けたまえ!!!!!」
レオナの声はエルフの里全体に響いた。
『事情は妖精のルゥから聞きました。私はレオナ。すでに時を止める秘術で10年の歳月が経っています。私は仲間と共に、この大悪魔を倒す準備をしてから時を止める秘術を解除しました。里のみんなはすぐに里の外に逃げて下さい』
時間停止が解けたエルフは混乱していた。本人達にしてみればたった今、悪魔を封印した感覚だからだ。
「10年も、世界の時は進んでいるのか?」
「話は後です!すぐに里を出て下さい!聖王国の教皇様が森の入口で保護してくれる手筈になっています。妖精のルゥ!みんなの避難誘導をお願い!」
「了解です!ささっ、こちらなのです!」
まだ混乱している族長を始めとしたエルフ達を強制的に移動させた。
「レオナ!死んでしまった仲間はいるの?」
「そういえば、多くは身体がだるそうにしているが、死んだエルフはいないようだ」
「それはよかった。後はこの悪魔を倒すだけだね」
時が動き始めてから魔法陣から少しづつ身体が出てきている大悪魔を睨みつけた。
「クククッ、今さら騒ごうがムダだ。絶望せよ!もうすぐだ」
ライオンの頭の悪魔は勝ち誇ったように言った。
「まだ動けない状態で何を勝ち誇っているのよ?バカなの?」
シオンは挑発するかの様に言った。
「………人間の小娘が。そんなに我に喰われたいか?」
「あいにくと、ライオンに食べられる予定は無いのよ。それに私は強いよ!みんな、作戦プランAを開始する!」
「「了解!!!」」
仲間達はエルフ達を誘導しながら、指定の位置に移動した。そして、魔法陣の部屋にはシオンと大悪魔ヴァプラだけが残った。
「まだ出られないの?ゆっくりなのね。その様子だと完全に出るには後5分ほどは掛かりそうかしら?」
「だからなんだ?貴様の命が残り5分と言う事だ。精々神にでも祈るんだなぁ~」
「そうね。なら動けない貴方を一方的にボコボコにしても良心が痛まないわね」
シオンはぁ~ナムナムと祈りながら悪魔の周りを正方形に簡易結界を張り、水魔法で悪魔を溺れさせた。
「ぐおっ!?ゴボゴボッッッ」
悪魔の全身が『聖水』で溺れさせられている状態が完成した。
全身から黒い煙が発生しており、全身を火傷しているようなダメージを受けていた。
『ボコッッ!?ま、まさか聖水を魔法で生み出すだとっ!?目の前の小娘は【聖女】とかいうヤツなのか!?』
大悪魔とはいえ、まともに聖水を浴びて、更には口から聖水を飲まされている為に、内部からもダメージを受けていた。
ヴァプラはすでに出てきている腕を使い暴れまくった。
長い4本の腕を無作為に振り回すが、結界には届かず、聖水の水の中をもがき続けるしか出来なかった。
さらに運はシオンに味方していた。
召喚が完全に終了するまでは、大悪魔といえども、魔力を行使する事が出来なかったのである。
こうして大悪魔ヴァプラは僅か約5分間でかなりのダメージを受けたのであった。
『流石にこれだけでは倒し切れないか………』
遂に全身の召喚が完了し、すぐにヴァプラは魔力を放出してシオンの結界を打ち破った。
結界が壊れた事で、水槽の水が周囲に流れ落ちるかのように流れていった。
「ハァハァ、貴様!許さんぞ!!!!」
全身の痛みに耐えながら怒りをシオンにぶつけた。
「あれ~?これからなのにもうお疲れ?」
ブチッとヴァプラはシオンの挑発にキレた。
魔力で巨大な戦斧を召喚させてシオンに斬り掛かった。
(刃が両方についているやつね)
ドカンッッと強力なパワーで地面ごと切り裂いたが、シオンはマジック・ボートに乗り回避した。
そして、そのまま外に飛び出た。
「遅いわよ!」
「おのれぇ!!!!!!」
身体の全てが召喚されたヴァプラの下半身はケンタウロスのようなライオンの獣の身体であった。自慢の脚力で建物を破壊しながらシオンを追って飛び出した。
激しい破壊音と共に外に飛び出たヴァプラの目にはシオンしか映っていない。
「貴様の身体を細切れにして殺してやるわ!」
怒りに任せて戦斧を振り上げた。
ドッカーーーーーン!!!!!!!
大きな音が響いた。
それはヴァプラの戦斧が地面に叩きつけられた音ではなかった。
単純な落とし穴に落ちたのだ。
「ぐぉっ、何が起きた?」
完全に視界の外からの予想外な出来事に、何が起きたのか脳がすぐに理解することができなかったのである。
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