どうしてこうなった?

シオンはいろいろと話を聞きたいからと、やってきた馬車の中で移動中に、特に後ろ暗い事もないので身元を明かして今の状況を話した。


「君がアーノルド王国にあるスカーレット公爵家の御令嬢…………あの有名な!?」


「はい、そうです私があの有名な変な、お……んなの子です?なんですって!?」


コホンッ

「いえ、スカーレット公爵家のシオンです。はい」


………あれ?私って有名だったの?


おかしいわね?社交会には顔を出した事が無かったはずだけど?


シオン首を傾げているとジークが言ってくれた。


「いやいや!見たこともない道具や料理、調味料など開発したのはスカーレット公爵家の令嬢と言う事は、その筋の者はみんな知っていますよ!?」


なんだと!?

表向きの社長は平民の商人を立てていたのに!

どうしてわかったんだ?


まだ子供のシオンは知らなかった。

少し考えれば当然なのだ。


人気上昇中の商会を調べようと高位貴族など押し掛けたりした場合は、平民の社長だと拒否できないのだ。

無論、パトロンにスカーレット公爵家が主体で運営していると伝えれば末端の貴族なら諦める。

だが、王族などの訪問や、お呼ばれは拒否できないのである。


そしてスカーレット公爵家に連絡が入り、渋々と父親が娘のシオンが開発したと暴露していたのである。


「そうだったのかー!」

「しかし、シオン令嬢は社交界に出て来ないので姿は知りませんでしたが」


まぁ、特に問題ないか!

シオンは考えを切り替えた。


「────と、言う訳で飛び級制度を使い、修行で得た力を人々の為に使いたいと思って旅にでたばかりでした」


ジークに隣国へきた経緯を話した。


「なんて崇高な思いなんだ!私はモーレツに感動しましたよ!」


なんか感動された。


そしてなんか断れない空気の下、王城へ連れて行かれて国王様と謁見する事になりました。


どうしてこうなった!?


「あの~、一晩の宿をお借りするだけで、なぜ故お城に?」

「ああ、自分の家なので」


!?!?!?


「この国の王子なんだ」


なんですとーーーー!!!!!?


「今日はもう遅いから、ゆっくり休んで欲しい。明日、父に会ってもらうから」


マジか!?

私、最低限のマナーしか知らんけど大丈夫かな?


お城に着くとメイドさんが現れて、身ぐるみ剥がされてお風呂に入れられて、簡易のドレスを身に着けられて食堂?に通された。


テーブルには豪華な料理が並べられていた。

凄い!フルーツの山盛の付け合わせなんてテレビでしか見たことないよ!


「待っていたよ。ささやかだけど好きな物を食べて欲しい」


すでに来ていたジークが席を勧めて食事を始めた。


『うん!これは美味しいよ♪』


食事中に声を出すのはマナー違反なので心の中で語ります。でも表情がニコニコしていたので、

とても気に入ってくれたと、周囲の者はわかったので微笑ましく思った。


『気に入ってもらえて良かった』


ジークも自分の食事を後にして、ニコニコ食べるシオンを見て楽しんだ。


そして簡単な会話を楽しんでから部屋に戻るのだった。


「明日は王様と謁見か~早く寝よう。お休みなさい~」


すや~~



そして夜が明けて、またメイドさんにおもちゃにされながら、バッチリ決めて謁見に望みました。


「聖女様のお陰で我が息子の命が救われました。深く感謝致します」


物腰の優しい王様だった。


「すみません。私は旅の一般人であり聖女ではありません」


「それは失礼。そして我が王家に仇成す不届き者も捕まえる事ができました。サラマンダーを召喚した者は【逃しました】が、首謀者は全員逮捕できたのはシオン令嬢のおかげだ。何か褒美を与えたいのだが、何か希望の物などございますかな?」


私はう~と考えてみたが特に無かったので、いつか困った事があったら支援して欲しいとお伝えすると、なんと謙虚な!聖女様の様な人だと、また勘違いされた。


だから聖女じゃないっていうのに!

謁見はすぐに終わりその後、ジークと一緒に街をブラブラして、もう一泊してからまた旅にでる為に挨拶に行きました。


「えっ?ジークも付いてくるのですか?」

「聖女………いえ、シオン令嬢に救われた命です。どうか旅に同行させてください!」


いやいやいや!

王太子様が、ダメでしょう!?


シオンが戸惑っていると、王様がフォローしてくれた。


「実はジークから王太子を辞退してもシオン令嬢の旅に同行したいと申し出があったのです。ジークには弟も二人居ますし、こちらは問題ありません。どうかシオン令嬢の旅に同行させてください。騎士団に身を置いていたので野営の準備など役に立ちます」


シオンは王様がいいなら別に困った事もないので承諾した。



実は謁見の前夜──



「本気かジーク?」

「はい!父上、シオン令嬢に惚れました。彼女の旅に同行したいと思います」


「自分が王太子だと言う事を理解しているのか?確かにシオン令嬢のお陰で王家の反乱分子を一掃できたが、責任ある王太子が長期間、国を空ける事は許可できないぞ」


そこでジークは王太子を辞退してでもシオンに着いて行きたいと申し出たのだ。


「はぁ~、そこまで惚れたのか。これは私の個人の意見だが、別にシオン令嬢の結婚には反対していないのだ」


!?


「本当ですか!?」

「ああ、隣国の王家の血筋であるスカーレット公爵家の令嬢で位も問題ない。しかし、シオン令嬢に王妃が務まるのか?」


「シオン令嬢は学園を飛び級するくらい頭もいいです。十分に責務はこなせるはず──」


国王は首を振った。


「そうではない。あのシオン令嬢が1つの場所に大人しくずっといると思うのかって事だ」


あっ!と、ジークも思い当たった。


「正式な挨拶は明日だが、通路から一目見て感じたよ。あの強大な力を世の中の為に世界を周る御方だ。貴族社会で茶会などするより、困っている民の為に貧民街など歩き周るような性格であろう?ならば、王妃として迎えるより、平民として自由に動き回れる立場の方が良いのではないか?幸い、財産は沢山お持ちのようだしな」


なるほど。


「ならば私を廃嫡して下さい!」


ジークの言葉に国王は、はぁ~とため息を付いた。


「特に何もしていないお前を廃嫡などできん。そう極端な選択はするな!取り敢えず、王太子は保留とし、いち王子として立場を戻す」


「ありがとうございます」


「まぁシオン令嬢ならいずれ何か大きな事を成すような気もするのでな。お前はしっかりとシオン令嬢の心を掴むのだぞ。それと定期的に手紙などで連絡を送るのが条件だ。忘れるなよ?」


ジークは父親である国王に感謝し頭を下げるのだった。





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