「クロスロード」

ぽふ、

第1話

脳の中を電車が走っていることを、想像する。


あちらの駅から、こちらの駅へ。


「きょうは月曜日だから、」とか考えるのも、脳なわけで。


無数の電車が、走ってる。


あちらの駅や、こちらの駅や、その他、様々な領域で、行って来て帰って、また行って、そうして、「働くのは大変なんだろうな」とか思ったりするのも、脳だ。


ときどき、みんな嫌々働いているのかと思ったりもする。


けれど。


たぶん、きっと、そうではない。


意欲とか、やりがいとか、安らぎとかも含めて、働くっていうことなんだ。


きっと。


こう、モラトリアムが長いこと続いてしまうと、どこか思考が狭くなってく。


あかんなぁ、って思う。


思うけれども、しようがなくて。


なんで、こうなっているんだっけ・・・・・・。


三つ子の魂百まで、という言葉がある。


じぶんでもしょうがない部分のことが、じつは三つ子の魂なのではないかと思ったりする。


でも、じぶんでは、三つ子の頃のことなど憶えてもいないし、心の中を探っても、心の中の、どの部分が三歳児の頃からある心なのか、わかるはずもなく。


ぐるぐると考えて、脳の中の電車もグルグル同じ所を巡ってしまう、ような気がする。


ループ・・・・・・。


そう。


あかんなぁ、って思う。


思う・・・・・・。


「電車に遅れちゃうよー」


なにしてんのー? っていう表情をして私の顔を窺う彼。


準備万端な格好で。


きょうは月曜日なので、平日で、通勤や通学の人たちで、いっぱいの電車に乗る、か乗らないか、時間帯が、よくわからない。


平日なら、道路は、日中を通して通勤や仕事で移動している車が多かったりもする幹線道路が、近くにあって、そこを通って駅へ向かう。


まだ、化粧も、していない。


「ごめんー、もうすこしー」


鏡を見て、眉毛を整える。

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