第6話
街を歩くとき、人の視線が怖かった時期がある。ジョニーの容姿は人目を引くらしく、あからさまにチラつく視線を感じるときがある。皆それを羨ましがったりしていたが、ジョニーにとっては動物に向けられるような、枠組みを設けられただけにしか感じなかった。その例が、高校から続いている友人に、合コンとやらに誘われたときの質問だ。カッコいいって言われませんか、大学何年生ですか、親の仕事はなんですか、ひどいときは父親の年収まで聞いてくる人だっていた。父親もいない、大学生でもないジョニーは答えたくなかった。そもそもジョージの年収など想像つかないのは当然で、彼は賃金ももらわず、延々とスクワットを続け、愛を、男の生きざまとやらを説いている。ジョージがもし働いていたらと考えると、想像するだけでつまらない、と思う。なにせ、あの、磨かれたような頭を押さえるジョージだ。彼がデスクワークをしているとなれば、なんだか滑稽さに拍車がかかってしまう。そういうことを考えている間に、周囲の男女の興味はジョニーから保険をかけた相手へと移る。そうかと思えば、時おりアイシャドウの群れがギラついた肉食獣のように向く。だからジョニーはお手洗いに行くと言ったのち、その友人にペイペイで送金して帰ることにした。その日は晴れていた。今日みたいな土砂降りと真逆の、真夏の一日のことだ。おいしくもない気の抜けた生ぬるいビールを残した一日のことだ。
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