第2話 生き延びた者たち
惑星ノアを巡る戦争から三か月が経過した。惑星ノアには一時的ではあるモノの平和が訪れていた。戦争が終結し、この惑星の資源を握ったのはここら一体を収めている大貴族、レブリース家となった。
彼らは戦争に勝利したその日に支配権を主張し、反対する民間人を一週間にわたり虐殺。その遺体の数々を見世物にし、必要ならば地域住民ごと焼き払った。ノアの地表面の侵略を手早く済ませると、近隣を荒らしていた海賊たちを一掃し、軍事基地を設立。各惑星と貿易を行うための港も整備され、惑星ノアは急激に発展を遂げていった。
発展していく速度に合わせて、ついていけない者たちも加速度的に増えていった。惑星ノアに作られたスラム街は急激に拡大し、今ではどちらが都市本体なのか分からないほどである。そんなスラム街に流れ着く者たちの多くは、貧困者であり、戦争孤児であり、戦争で廃棄された兵士たちだ。
そして俺も、その例に漏れず戦争に廃棄された兵士であり、今は傭兵として活動している。
「なぁ、ヴァシュロンさんよ。いい加減、新しい戦場に向かったらどうだい?」
傭兵として活動するにはいくつか方法があるが、俺は野良の傭兵として活動していた。主な仕事引受先は、傭兵組合。荒くれ者たちを束ねる大組織だが、その上役たちは汚職にまみれ、貴族たちと同じく組合員がどれほど死のうと気にもしない。
それでも、この組合が生き残り仕事を斡旋してくれるのは、傭兵たちが毎日馬鹿みたいな数生み出されて、死んでいくからだ。
「そういわれてもなぁ、俺は装甲騎士の一つも持ってないんだぜ?」
「金策に困ってるなら金貸しに行くのも一つの手だよ?」
「いやいや、どうせ返せないよ。俺は身分相応な依頼を熟して、まずはここに生活基盤を作らないとダメだからな」
「はぁ、それじゃあ今日はこの依頼だね」
受付で依頼書を受け取ると、俺は確認することもなく組合を後にする。どうせ受ける依頼はいつも同じなのだから、確認する意味がない。傭兵の仕事は、簡単に言えば何でもありだ。依頼があれば人攫いから殺害、護衛に戦争までなんでも請け負っている。
その中でも俺は、殺害に特化した傭兵として、惑星ノアで活動していた。
「さて、今回のターゲットは誰だ?」
自宅としている掘っ立て小屋に引き返し、依頼書を確認する。基本的にこんなスラム街の傭兵に飛んでくる殺害依頼なんて大した事はないのだが。フム、今回も大したことがなさそうだ。
「スラムの一角を収めている、ルーダ・ファミリーの殺害、ねぇ。理由は治安を著しく悪化させたからとあるが、東側の地区はそんなに競争が激しいのか?」
俺が住んでいるのはスラム街の南側。今回の依頼は東側らしく、その区画はトップを誰にするかでまだまだ揉めていた。俺のいる南地区は作られると同時にジン・ファミリーが支配を宣言し、各方面からの侵略を抑えつつ区画整理を無理やり実行して歓楽街を作っていた。俺が住んでいるのは、その歓楽街から一本通りを入ったところだ。
今回の殺害依頼は、激しく東地区の取り合いをしているファミリーの一角ルーダ・ファミリーの幹部候補らしい。情報が正しければ、今日は歓楽街に来て女遊びをしているはずだ。その帰りに襲撃をすれば成功率が高いと書かれているが………ま、この事前情報は嘘だろうな。
「さて、準備に入るか」
今回の報酬はかなりの金額になるだろうし。これでしばらくは、金に困らないだろう。
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