第3話
スキルは何度も何度も使用することで、新しい派生スキルを覚えることがある。あの性癖鑑定なんかもそうだ。進化を重ねていくことで、『鑑定』に進化を果たす。
進化をすることで、なんでも見ることができるようになる。例えば、その人が持っているスキルや、ステータスなんかも見ることができるようになるらしい。
「ゆうちゃん。そのスキルを使っているといいことがあるから、毎日使いなさい」
「はーい」
そう素直に従う。車で移動している時にも性癖鑑定を発動し、街の人たちの性癖を暴露していく。(ここだけ見ると変態みたい)
そして、学校に到着し、
「おはよー」
とみんなに挨拶する。ほとんどの人が反応してくれるが、反応してくれない人も何人か存在しているようだ。
(話しにくいのかな?初対面だと緊張するし、仕方ないよ)
このショタっこにとって、初対面の緊張はもうなれてしまった。メイドが何人もいる時点で納得がいくだろう。何人もやってきては、変わっていくメイド——その度に初対面の人がやってくる。
経験で慣れてしまったのだ。
クラスメイトに鑑定をかけると、性癖の変化はない。
(んー、僕だけが得するのもなー。仲良く慣ればいか!)
勝手に覗き見をしているようで、少し気まずい。仲良くなっていけば、問題ないだろうと判断したのだ。
そう、ここは男女比の離れてしまった世界だ。そのため、男から話しかけないと、その人と会話をすることはできない。
挨拶をして返ってこないのも理由の一つだ。自分へのメッセージではない。そう判断し、挨拶を返していないのだ。最悪な場合だと、強制的な引っ越しが行われてしまう。そのため、男についての教育は親が熱心に行っているのだ。
目の前にいる少女は(性的に)スライム好きの少女だった。会話をするために、椅子を引きずりながら移動させる。そして、少女の机の横に腰を下ろす。
少女の心臓はドキドキしているのだろう。顔が赤面していき、わずかながら湯気が出ている。
(椅子ってこんなに重かったんだ……)
椅子なんて運ぶことが滅多にない。基本的に掃除は女子が行っている。要するに発散の場となる。座っており、ほんのりと体温や匂いが残っている椅子に、鼻をこすりつけ匂いを嗅ぐものや、頬擦りをして体温を確かめる者もいる。この子達の将来は椅子職人になるのだろう。
そして、椅子が重い理由はステータス格差が生まれているからだ。男がダンジョンに行かなくなったことで、男の遺伝子は弱くなっているとされている。そのため、全くレベルを上げていない状態でのステータスであれば女子の方が圧倒的に高いのが現状だ。
精神的に幼い子供が強いステータスを持つ。その結果、軽い椅子なんかは簡単に振り回すことができるようになった。その振り回すといった暴行を抑えるために、椅子や机の質量が上がってしまったのだ。
「おはよう」
「お、おはようございます」
少女は本を読んでいたようだ。児童文庫と呼ばれるもので、基本的な感じには全てふりがなが振られているような本だ。その本を口元に当て、顔を赤くしながら視線を向けてくる。
「?なんの本を読んでいるの?」
ふと気になったことを話かけてしまった。本来であれば、向こうが好きと仮定しているスライムのことを聞こうと思っていた。(エグい質問だな)
だが、心もまだ少年だ。気になったことを聞いてしまう。
「本?この本は、推理小説です!」
「おお!大人っぽい!」
(メイドのみんなも推理小説が好きな人もいたな〜)
「どんな内容なの?」
その表紙には3と書かれていたことから、1や2が存在しているはずだ。そこに目をつけてはいないが質問する。
「最初は事件が起きるんです!そして、およその事件の発生時刻がわかって、それぞれの人のアリバイの話が出てきます!犯行現場や周囲の建物、犯人候補の部屋の中の様子が書かれています!」
もう、それはそれは早口だった。本当に好きなのは一瞬で理解できる。
「それで、その登場人物ごとに会話が始まるんですけど、小さな情報から大きな情報、嘘の情報と正しい情報を手に入れながら犯人に迫るといった形なんです!もう、自分が推理しているような気持ちになって、本当本っ当に楽しくて!ぜひおすすめです!」
文学少女は、そう言い切ると、ハーハーと口で呼吸をし始める。早口で全てを出し切った影響なのだろう。机の横に吊るされている水筒の口を開けようとする。だが、冷気によってくっついてしまったのか、開かないようだ。
蓋の方を軽く上に持ち上げるとカポッと気持ちの良い音を出しながら蓋が素早く開く。水筒の口を齧るようにしてゴクゴクと中の飲み物を飲んでいく。
「悠里くんはどんなのが好きなの?」
「んー。歴史かな?」
「へー、そうなんだ……」
会話が終わってしまう。
「……今って女の人が強いでしょ?でも昔は男の人が強かったんだって。だから僕も強くてかっこいい大人になりたいなー」
数秒何も会話が起こらない時間が起きる。それに痺れを切らした悠里が話を再開させた。
男女比が偏ったことで、女性がダンジョンに潜るようになってしまった。その結果、男性と女性であれば、女性の方が強いのが常識となっている。
そんな常識を覆すのが過去の歴史だ。戦国時代の織田信長であったり、豊臣秀吉といった武将者が好きになっているのだった。
「そういえば、動物って何が好き?何か家で飼っている?」
本題に戻すべく、無理やり話題を変えてしまった。
「ペットかー。犬が数匹かな?」
「ペットいいな〜。猫飼いたいんだよね〜」
(メイクーンといった大型の猫や、かわいい短足マンチカンのお世話をしたいな。もふもふに体を埋めたい)
そう考えている。悠里猫の動画を見るのが好きだ。メイドから布教され、今は癒しの一つになっている。(もう一つはメイドと遊んだり話したりすること)
「お母さんに頼んでみれば?悠里くんのお母さんならいいよって言ってくれると思うよ?」
この状況でお父さんとは呼ばれない。それもそのはず、お父さんなんて伝説の生物なのだ。男子がつけあがる世の中で、まともな男は生まれずらい。
そんなクズ的な男と一緒に暮らしたいと考えるだろうか?まともであれば拒否してしまうだろう。そんな理由から、お父さんに聞いてみるという考えは生まれない。
「うん!帰ったら聞いてみるよ!」
今は会話をしているため、携帯を触ってはいけない。目をしっかりと見て会話をしなければならない。そのことを頭に入れつつ、他愛もない会話を楽しむ。
そして、授業五分前になると椅子を引きずりながら自分の席に戻り、授業を聞く。そして、午前中の授業の後、家に帰る。
もちろんペットを飼う許可は降りた。ここに三匹の猫が追加されたのだ。
(大きいって思ったけど、小さい?)
子猫の状態で来たため、体は小さくよちよちと移動している。そのどれもが僕の方に向かって歩いてきているのだ。
キューンと心を打たれてしまった。一生懸命に歩き、近寄ってくる姿、そしてキューキューと可愛らしく高い声で鳴く姿。そのどれもが可愛らしく思える。
近寄ってきた子猫たちをぎゅっと抱き抱え、顔を疼くめる。
もふもふとした毛が鼻や頬に当たる。少しこそばゆいが猫たちは反抗してこない。その子猫たちの背中や首元、腹あたりの毛を堪能すると今日の戯れる時間が終わる。
「ああー……」
その連れていこうとしているメイドに頬を膨らませながらジトーっと見つめる
「そんなお顔をされてもダメです。坊ちゃんも昔、私に緊張していましたよね?猫も同じです。だから、今日はここまでです」
そう言いながらメイドは猫を連れて移動していく。
通常の猫であれば、特に問題はない。だが、ここにきた猫たちは一つだけ異なっているのだ。種族はマジックキャットだ。そのテイムされている魔物がこの家の住人となる。
テイムされているが魔物は魔物だ。突拍子に傷をつけてしまう可能性がある。そのため、慎重に慣らす必要があったのだ。仕方ないことだ。
マジックキャットが門番になった。家の防御力が格段に上がった!
__
後書き
…わいの作品、ほとんどショタ(幼少期も含む)が出てきて笑える
あ゛〜。猫吸いたい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます