ホネとケガレと弾丸と

素直 氷華

第一幕 怪異と狩人

其ノ一 ガバメントハンター

***東北地方・某所***


「新人って、今日来るんでしたよね?比嘉ひが あきらって名前でしたっけ?」


「高卒採用の18歳。午後から顔合せだ。あー、ちょっと音楽流していいか?」


 車内BGM用に流し始めたK-POPに運転席の山田やまだが意外そうに聞いた。


卜部うらべさん、BLACK REDとか聞かはるんですね」


「月一で会っている娘が好きらしくてな。次会う時に感想を伝えるって約束しているんだ」


「おっ!いいですね。ほんで、どうでした?」


「いやあ!全然!まず日本語じゃないから分かんねぇわ!!」


 2人で笑い合っていると、車の無線機に県庁から応援要請が入った。


 <県庁から各ハンターへ。白金街道しろかねかいどうにて【怪異】発生!怪異は街道を直進中。至急対応されたし!>


「白金街道はこの先で合流ですよ!」


 即座に無線機のマイクを取り、スイッチを入れる。


「<こちら、い組の参!現場に急行します!以上!>……山田!俺達で始末するぞ!」


 山田はアクセルを踏み込み、車のスピードを上げた。


 白金街道に入った数分もしない内に、


 怪異の白い頭蓋骨からドス黒いエネルギーが溢れ、四足歩行の生物を模した身体を形成している。


 <い組の参から県庁へ!怪異を発見した!卜部うらべ 悠里ゆうり山田やまだ ガリレオ!これより緊急祓除きんきゅうばつじょを開始する!>


「卜部さん!猩々しょうじょう降霊おろします!」


 山田の体から同様の黒いエネルギーが溢れ、猿の頭蓋骨が彼の顔を覆う。そして、別人の様な野太い声で話し始めた。


大猪おおいのししノ怪異。獲物ヲ屠ル迄、止マラナイ。真ッ直グ走ルコト。奴ノ最大ノ武器』


 俺は後部座席からケースを掴み、中から銃を取り出す。

 スピードは更に上がり、車はぴったりと怪異の後ろに張り付いた。


 銃の照準を怪異の足に合わせ、引き金を引く。


山蛭弾だんがんをブチ込んでやるッ!」


 発射された漆黒の銃弾は、怪異の足に命中した。だが、怪異の足はすぐにドス黒い肉片エネルギーで再生していく。


 大猪の怪異はまるで嘲笑うかの様に咆哮する。だが、焦りは無い。


「俺の攻撃は終わっているぞ」


 大猪の怪異の頭蓋骨がガクンと下がる。

 弾丸が当たった箇所は


山蛭やまびるの怪異はお前のを奪ってどんどんデカくなる。山田!追い越せ!奴の頭蓋を破壊する」


 山田は車線を変更し、怪異の前に出る。

 リアゲートが開いた。頭蓋骨の奥にあるコアを破壊するため、銃を固定し直す。


「破魔弾を装填!祓除実行!」


 引き金を引く刹那、怪異の頭蓋骨の目孔が。その瞬間、怪異は勢いよく突進し、車体後部を粉砕した。


 大猪の怪異が再び、加速しようとした時、。怪異は勢いのまま路面を滑り、倒れた。


「車を停めろ!!」


 車を停め、外へ飛び出すと、道路脇に立つ人物が目に入った。


 が俺達に近づく。彼女がバイク用のヘルメットを取ると、10代後半ほどの顔が現れた。


「お前!緊急祓除の許可を取ったんか!?どこの所属や!?」


 気色ばむ山田に対して、女性は表情を変えず、い組の参と答えた。


「君、名前は?」


あきら比嘉ひが あきら


「マジかよ……」


 彼女の名を聞いて、天を仰いだ。だが、この出会いが後にに繋がることを、俺はまだ知る由もなかった。

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