第4話 りくvsサンタ!?
クリスマスの翌朝。
プレゼントを前に、りくは腕を組んでいた。
「……お母さん。僕、このプレゼント、クーリングオフしたいです」
朝から脳が追いつかない。
「いやいやいや、りく。
サンタにクーリングオフって普通言わないから!」
まずそこ。
りくはコホンと咳をしてから、急に落ち着いた声になる。
「母さん、冷静なご指摘ありがとうございます。
確かに“相手がサンタさん”という点は重要です」
おぉ、意外と認めた。
「しかし、母さんのツッコミを踏まえたうえで、
念のため、仕組みの方も確認しておきたいのです」
確認しないでいい。5歳だから。
「クーリングオフというのは、基本的に——
売買契約が成立したときに使う制度 です」
また説明入った。
「でもりく、サンタさんの“プレゼント”でしょ?」
するとりくは、指を立ててキリッ。
「まさにそこです、母さん。
今回、僕はサンタさんにお金を払っていません。
つまり——」
一拍置いて、
「売買契約がないので、クーリングオフの対象外です。」
「そこじゃないって!!」
ママの叫びむなしく、りくは真顔で続ける。
「母さんの“おかしい”という判断は完全に正しいです。
僕も制度上から“できない”と結論に至りました」
なんだその二段階確認。
そして、りくはプレゼントを見つめながら言う。
「では今回の問題点は何か?
……これは契約ではなく“心の温度差”です」
急に哲学モード。
「嫌いではありません。
ただ、僕の心が追いつくまでに時間が必要なのです」
「え、それでクーリングオフ……?」
「はい。“一時的保留”という個人版クーリングオフです」
そんな制度どこにもない。
数分後。
「母さん、この恐竜ロボ……尻尾のところが意外といい動きします。
心の準備が整ってきました。前向きに“受け取り”ます」
受け取りのタイミング自主申告制なの?
こうして我が家のクリスマスは、
サンタへのクーリングオフから、
“感情の調整期間”というよくわからない結論に落ち着いたのだった。
論破キッズ⭐︎りく 星野 暁 @sakananonakasa
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