第一八・五話『Remap思考でReadingにRealize』─読書は通貨になる?

【Thought/Price編】

B「やっほー、面白いこと考えた」

A「なに?」

B「読書行為って通貨にできないかな?」

A「ならない。この前の思考と地続きすぎるだろ。大丈夫か?」

B「大丈夫だ、問題ない。」

A「で、どう通貨にするの?」

B「読録をつくればいいんじゃないかって」

A「なに、読録って」

B「その名の通り、読書を記録すること。」

A「既存にそういうのあるじゃん。」

B「笑わせないで、あれは文字通り記録してるけど、ただの情報でしかない。記録であってそれ以上ではない。もちろん、有効価値はあるけどね。でもここで話しているのは「銭」をいかにして稼ぐかという工程がついてくる。」

A「何が足らないの」

B「それは、「引用」機能とそれに付属する価値付与、それも実数値のスコアリングよりも文化資本としての側面が強いという意味で。」

A「例えば?全容の前にキーとなるポイントを」

B「そうね、例えばある本に「神とは、情報である」である、記載されていたとする。それを

Remapという機能を用いて変換される例えばそう「これは、ディック的神学像」という風に。」

A「なるほどね、描かれた文章を常時翻訳、いや意訳して同時にそれが何を意味するのか?というのを思考的引用という形でアナロジー的に返してくると」

B「そう。そうすることで記載→抽象濃度があがり、次に活かせる。これが現状の記録だと、

いずれ、希釈する。この差を、活かす。ここにかかる作用を還元させればいいのよ。」

A「どうやって、まさか巷で大人気のNFTでも導入するの?」

B「凡人の発想ね。あれはあれでいい。でも面白くない。」

A「じゃあなに介して「還元」させるの?」

B「Activity-Based Creditを作る」

A「アクティビティ・ベースド・クレジットってなにさ?」

B「読書・運動・投稿・投票・学習など、人間の思考や行動の「痕跡」に基づいて「与信・価値」が発生するという仕組み。証券化でも貨幣でもない「思想通貨」概念化よ。

資産や信用が「金融商品」ではなく「人間の営為」に付随する。

すると、思想の軌跡が値札になる。」

A「果たして、大衆が満足するか、納得するか、そこらへん荒れそう」

B「重要なのは、正しい間違っているかではない。面白いかどうかなの。今の時代、Googleの検索履歴で人となりや性格、趣味趣向が価値判断されるなら、読書という行為が価値化されるべきだという文化的逆張りからの発想。どう?悪くないでしょ?」

A「走った距離ではなく、「読んだ本」であり、消費金額ではなく、「思考」ということか。中々にロマンとブラックユーモアがあるね。」

B「読書内容を論文や物語にするもの、本の朗読と解説、後、変な蘊蓄をたらすもの、超速記録屋として他人に読んだ感覚さえ想起させる代行者、この辺が強い時代になる。」

A「格差はあるのか」

B「当たり前。でもこのABCで稼げるやつは行為を記録し、文脈を作りながら他者とつなぐ奴という至極単純なものよ。」

A「哲学で物語を解釈すると逆に価値下がる、みたいな仕様ありそう。なぜなら自分が嫌いな技法だから。こういうのってバズると価値が下がる。ってありえるんじゃない?」

B「デリダを『炎炎ノ消防隊』で再解釈した読録が出た途端、デリダ読録全体の価値が20%

下がる、そんな設計にしようかしら。」

A「余計なことを言ったかも」

B「他者の地獄をテーマにデリダとサルトルが喧嘩する話をかけるやつとか、あるいは、

村上春樹全著作まとめるやつとか、『方法序説』朗読しただけで、やっぱデカルトは稼げる

と思える。そんな人たちしか枠がないのだからどのみち地獄のようなサービスよ」

A「ああ、ここにサブスクなんて概念を導入したら」

B「それね、思うよね笑。例えば、「このルソーの読録、初月無料だけど二ヶ月目から980円」でゼミとファンビジネスを融合させるとか、単語起債、つまりは特定の単語が何回か出ることによって読録トークン($READ)発行開始とかね。あ、ちなみに、これのベースはディアゴスティーニから着想。」

A「税制どうすんだw。少女小説におけるフロイト的父特集は限定配信です。これ受けそう。単語が付加価値になる。これもあり得そう。

神話構造って単語がこの人の読録で三〇回登場してる。今なら一ワード=8.3円

B「面白くなってきたね。それにさっきAが言った「哲学で語る」作法はここにおいては価値低下の温床になる。」

A「そうだな、じゃあ例えば、『ぼっち・ざ・ろっく!』と現存在の文章の場合どうなる?」

B「そうね、おおかたギター弾く=存在への投企って話、超泣ける。みたいな話になるから、ハイデガートークン -24.5%にするわ。因みに絶望性において、キルケゴールと連動下げ笑」

A「実存はギターの向こうにあるってあればプラスになるよね。この場合サルトルトークン。」

B「涼宮ハルヒ=フッサール説なんてね笑」

A「承認欲求の強いインフルエンサーとしてのニーチェ」

B「短い動画サイトで流行りそうね。『善悪の彼岸』が推しとアンチの境界線説が流行るだろうから、ニーチェトークン -38%あたりがいいかしら。」

A「うん、哲学でアニメを語る学生層は肩身が狭くなりそう。」

B「まぁ要するに使い方しだいよ。読み方のバズり次第で、死者も価値変動する市場なの。その意味ではキルケゴールはトークンでも孤独なのね、かわいそう。」

A「他にも考えてること、実際あるでしょ。この際勿体ぶらずに言ってみれば?」

B「マイナー書物発掘=資源開発=レア読録=高単価デリバティブ、再解釈力=為替変動文体美文債発行=信用取引、引用能力=資本。ざっとこんな感じ。」

A「全部、自分が勝てる仕様じゃん。」

B「当然。だから言ってるでしょ。「銭」が入る前提の読書と引用と記録混在ツールだって。」

A「まぁ、遊んでいってるからいいか、内容としてはわかったけど、じゃあ技術的にはどう?」

B「引用にはReadwise、再文脈はMarkdownとWYSIWYGをTiptap,Lexicalを。構造化

にはNeo4jやObsidianをノードグラフとして使えるわね。全文検索は、流石にElasticSearchがいいかな。共有と接続はGraphQLとWebSocketを。基礎ベースはざっとこんな感じね。」

A「できるかできないか、で言えば不可能ではないっぽいのが怖いかも。」

B「現状でもそれっぽいサービスって探せばあると思うわ。」

A「自分がどこから何をどう読み取り、それをどんな思考に接続したか。これ、もう知的出自の証明をツールにしているもんだろ。」

B「そして─終極的に言えばその成果は、日本語圏の思考文化を可視化・記録・資本化することに直結。ああ、楽しいわ。こういうの考えるだけでもワクワク。あらゆる事象に言えることだけど、結局ね、執着がないやつこそ、発想という名の器がにラディカルなものを投擲しても崩れない。ここ重要。熱意だけだと「器」が崩れるからね〜。そうだ、⌘R → Remap 挿入。このショートカットは入れたいわね。今からでも、β版〈READ-EX〉考えようかしら」


A「ルールを以下に解釈するか、その一つだけで、こんなにも訳のわからない発想ができるのが怖い。これフィクションに落とせば『思想通貨彼氏彼女──READで世界は変えられる?』みたいな本だせるんじゃない?ダイアモンド社、日経PB、東洋経済系の思想でもいいけど。」

B「簡易的に落とし込むのであればその路線、『哲学を課金したらバズってしまった件』とかの方が出版社受けは思想ね。それはともかく、「読録アカウント」は知的信用通帳にすれば少しは豊かになるんじゃいかしら。私。読書傾向グラフ、最近のRemap、引用する著者、タグクラウド、思想構造図全部UIに組み入れようかしら。色彩はセピア×グレー。装飾ではなく「思考の余白」を重視という感じで。」

A「欲望による模倣」

B「岸田秀『ものぐさ心理学』」

A「学歴ではなく、読んだ本と、それをどう読んだかで人を評価する、実にBらしい」

B「Remapせよ。再び世界を塗り替えるのだ。世界は所詮駒と糸の結び合いにすぎない。

故に、勝利条件はいかにして配列するかだ。だからこそ世界は再配置できるのだ。

私の自由思想中枢学会としてのネタは、まだあるから。」

A「やっぱりBは危ない。でも、少しだけワクワクする。」

Music By. nuito『弋』

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