愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に〜
暁龍弥
第1話 プロローグ〜そして男は生まれる〜
「***、あなたには愛を知って欲しかった…。さようなら、いつかまた会えたなら今度は...」
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なんだ、今のは?
なぜあいつが見えた…?
それにオレは、死んだはずではないのか。
「奥さま、このお方があなたの子です!よく頑張りました!元気な男の子ですよ!」
なんだこの声は?あなたの子だと
「そう、よかった。この子がわたしとあの人の子なのね…、元気に生まれて良かったわ」
見えなかった目は徐々に開いていく。
そこには美しい女性と獣人のメイドがいた。
これは一体どういうことだ?オレは、あの…
オレはなんなんだ?確かに記憶はある、だが自分の名前に関することが何も思い出せない。
いや、そんなことよりオレはもしや生まれ変わったとでもいうのか?
一体どうして…
「あの人は、いつ帰ってくるのエリー?」
「ご主人様は、6の刻の前には帰ってくるとの連絡がありました!」
ご主人様?貴族階級か?
「そうなのね、早く帰ってきて欲しいわ。はじめての子供であり、長男の誕生ですもの。それに、こんなに可愛い子を見て欲しい」
「そうですね!こ」
「シェイル!!ついに子供が生まれたのか!!」
?!
なんだこのでかい声は!!
「あなた!!大きい声を出さないで!!」
「す、すまない…」
「はぁ、それよりもあなた。この子があなたと私の子供よ!」
「こ、この子が!!う、うおぉーー!!なんて可愛いんだ!そ、それでこの子はどっちなんだ?」
「この子は男の子ですよ」
「そうか…」
オレは二人の掛け合いを見ていた。
あの筋骨隆々の大男がオレの父親か?
「ついに我が家にも子供ができた!しかも、男の子だ!」
「ええ、本当に嬉しいわ!」
「早く喋って欲しいぞ!!」
「まぁ、あなたったら気が早いわ!まだ生まれたばかりなのに…」
そう言い二人して笑っていた。
…すごく、楽しそうだな。
前のオレの家族はこのような感じではなかった。
これが、家族というものなのか?
「それで、この子の名前は決めているのあなた?」
「ああ、この子にぴったりな名前を考えてあるぞ!!この子の名前は、『アルス』!!どうだ、いい名前だろう!」
「ええ、本当にいい名前だわ。あなたの名前はアルスよ」
「そうだぞ、お前の名前はアルスだ!」
オレの名前はアルス…
そうか、オレはアルスという名前になったのか
「お前の名前は、この世で最も輝く星『アルマ・イルス』から取ったんだ!この世界を明るく照らし人々を導いていけるようにな!」
明るく照らす…
導く…
意識が遠く…
「あらあら、眠くなってしまったのね。よく眠りなさい」
「そうだな、よく眠るんだぞ。そして、どんどん成長してしゃべってくれ!」
「もう、あなたったら」
「「おやすみなさい、アルスいい夢を見てね」」
お、やすみなさい…
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