宇宙ヤギから生まれた僕は、遭難船の希望になる
@panjizzz
第1話目覚めたら宇宙船は終わっていた
――静寂が耳に張りついていた。
次の瞬間、遅れて警報音が頭に流れ込んでくる。
薄暗い船内で、シャピはゆっくりと目を開けた。
ここは宇宙輸送船の居住区近くの通路だ。
焦げた匂いが鼻に刺さる。
「……ん、どこだ僕……? いや待って、知ってる。ここ船内じゃん!」
勢いよく起き上がろうとした瞬間、頭がぐらりと揺れた。
視界がまだ定まらない。
床にはスパークした制御パネルの破片、焦げた配線。
壁には警告灯が赤く点滅し、無機質な声が繰り返していた。
《警告。内部損傷レベルA。主推進システム機能停止。乗員の生存確認が必要です》
無機質なアナウンスだけが、ひたすら船の死を告げていた。
「誰かいないのかな!? おーい!」
シャピは反射的に叫んだが、返事はない。
「……まじかよ。僕、爆発に巻き込まれて……死んだ? それとも夢?」
その時。
背後で、金属靴の“コツン”という音がした。
「シャピ船員、意識が戻ったのですね」
「うわぁぁぁっ!?」
シャピはジャケットの裾を掴んだまま跳ね上がる。
そこに立っていたのは銀髪に近い白髪、無表情のアンドロイド――クリスだった。
冷静すぎる人工ボイスが続く。
「状況を説明します。皆さん脱出ポッドで退避されました」
「……みんな? 船長たちも?」
「はい。規定通りです」
「規定通りって! 俺はリストにも入ってなかったってこと!?」
「……脱出ポッドはすでに全基発進済みです」
静かに、しかし致命的な宣告。
シャピはその場で膝をついた。
「……置いてかれたぁぁぁぁ……」
シャピはふらつきながら生存確認のためにメインモニターを操作する。
「どれ……船の状態は……」
モニターが起動し、表示された情報にシャピは固まる。
赤文字。赤文字。赤文字。
それ以外ないのかってくらい赤文字。
《推進システム:完全破損》
《エンジンユニット:左右共に爆砕》
《修復不可能:YES》
「……エンジン両方動いてないって漂流してるってことでは?」
隣でクリスはなぜか微笑みながらデータを再生している。
「困りましたね、シャピ船員」
「よりによってこんな奴と2人きりかよ」
船内は静かで、頼みの救難信号は機能しているかも怪しい。
そして――
何も知らないシャピの運命は、このあと加速度的にややこしくなる。
なぜなら、まだ気付いていない。
この船には、彼とクリス以外にも“なにか”が残っていることに。
次回、クリスのラブラブモードが炸裂
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