第5話:面倒な絡みをするやつはやり返せば引いていく


戦闘開始からたった2分で腕も折られたルトは、なおも表情を変えずに女を見つめる。


「さっき、あなたが霧状になって消えたのは魔法ね、それに殺気を乗せて本物に見立てた。一度見た技はもう効かないのは、もう分かるわね?」


「……みたいだな」


と言いつつ未だに構えを解かないルト。しかしローザには分かった。支配していたはずの空気が、徐々に変わり始めていることに。


(なにか……仕掛けてくるわね)


強者の余裕から一変、相対する者への挙動に神経を尖らせる。


ジリっと歩み寄ったルトへ、一瞬で距離を詰めたローザは掌打を放つ。そしてその攻撃は、10m先の小屋まで吹き飛ばし、辺り一面に砂埃を立ち込めさせた。


「先手必勝…。なんて、師匠が聞いたら泣くわね」


しかしローザは気づいた。掌打を放った手が、複数の水ぶくれを伴った火傷をしていることに。


小屋にはぶっ飛ばされて埋もれているルトが手を降っていた。


「これで満足か?ローザ」


(あの一瞬で水と火の魔法を組み合わせて熱湯を作り出したのね、これじゃ武人として失格ね)


「えぇルト。付き合ってくれてありがとね」


「ったく、会うたびに戦う必要あるか?」


「私と対等に戦えるのはあなたぐらいですもの。でも、あなたったら私に武術で勝負するなんて、失礼しちゃうわ」


「お前が俺を使うんだから俺がお前を使って体動かしてもいいだろ?最近なまっているのは本当なんだよ」


瓦礫に埋もれたルトを引っ張り出し、砂埃を払うローザは、満足味を帯びた顔で笑っていた。


「それで、ちゃんと教えてくれるんだろうな?」


「えぇ、もちろん。この件について、あなたの意見を仰ごうと思ってたから」


ローザは笑ってルトの拠点へと、場所を移した

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