第7話 お別れの時

ミチルが普通の子供としてお友達と楽しい時間を過ごした時間も終わりの時がやってきた。

夕方になって「タケルー、ベティー、夕ご飯の時間だよ」

「トミー、帰っておいでー」

と母親がお友達を呼ぶのを羨ましそうな悲しそうな目で見詰めるミチルを見ていると早く母親のもとに連れて行ってやりたいと思うコランだった。


「ミチル、もうそろそろ旅を再開しようと思うのじゃがどうする?このままこの村で暮らしても良いのじゃが、ミチルがお母さんと会いたいのなら、このままここに居るとお友達とお別れするのが辛くなると思うがのう。まあ儂はミチルの願い通りで構わんが、考えておきなさい」

「う、うん、考えてみるね」

特に何時までのと期限はつけなかったがミチルは次の日にはせっかく出来た初めてのお友達に別れを告げて来た。

「じいじ、いつ出発してもいいよ」

相変わらず決断するのに迷わない子だなあとコランは驚いた。

「いやいや迷わないわけは無いか。考えに考えてのミチルなりの判断だったのだろう。

「それじゃあ、明日出発するぞ儂はこれから村長に話してこよう。ミチルもまだお別れしていない子が居たら行っておいで」

「うん行ってくる」


コランが村長の所へ行くと子供から話を聞いていた大人達が集まっていた。

「コランさん、行ってしまわれるそうですね。ろくに恩も返せないのが情けない限りです。もしもまたこの近くを旅することが有りましたら是非お立ち寄り下され精一杯歓迎いたします」

村長は名残惜しげに言った。だがミチルちゃんのお母さんを訪ねる旅の途中だということは良く判っていて、無理に引き止めてはいけないと判っているのである。

コラン仙人様にはブラックワイバーンの肉を時間停止付きのマジックバッグごと貰っているし、もしも病気が流行った場合に備えて各種ポーション迄頂いている。返すにも返せない多大な恩を授けて貰っているのだ。コラン様とミチル様を快く見送ろうと、村人達に諭していたところだったのだ。


翌朝早く、旅行用携帯住居を収納しているところを早起きしてきた子供達に見られてしまった。

「あっ、本当にミチルちゃんの家が無くなっている!」

「本当に行っちゃうんだね寂しくなるなあ」

「ミチルちゃんはお母さんに会いに行くんからだ笑って送ってあげなさい」


コランとミチルはペガサスとユニコーンを召喚してまたがった。別れの時間が長引けば切なくなる、空を飛んで直ぐに村人の視界から消えてしまおうという思いだった。

ユニコーンは本来空を飛べないコランの仙術で自分とユニコーンを結界内に収めてコランが飛んでユニコーンを荷物のように運んでいるのが実情だが、

「やっぱりコラン様は現人神であらせられた」「ミチル様も子供の姿に見せている女神様に違いない」「「「「「ありがたや、ありがたや」」」」」

コランとミチルは神様になってしまったのである。


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