第27話 「平成一桁呑み歩き ~狸の焼鳥~」


仙台にいた時、正社員で勤めていた会社は

仙台駅に結構近い場所にあった。


周辺には雑居ビルが多く、飲食店も多かった。

通勤で、毎日そのビルの前を通る。

気になっていた店があった。


論文で世話になった課長に、行ってみたいと提案した。

快諾してくれた、よかった。

もちろん払いは、ワリカンだ。


「狸の焼鳥」


当時は雑居ビルの地下一階にあった。

狭いモルタルの壁に囲まれた店内。

もちろん焼き鳥を焼く煙と、煙草の煙が充満している。


店の看板にもなっている、狸の置物もまた

煙ヤニ塗れで、抹茶色になって鎮座している。


焼き鳥の価格はだ

一本、65円~70円。

うわ安ーい!!と思われそうですが、条件があります。


「10本から、注文承ります」


そうです。

ここの焼き鳥の注文は「10本単位」なんです。


まずは何を選ぶかだ。

確か最初に、モモと皮を選んだ気がする。


料理が出てくるのは、予測より早かった気がする。

マジで皿の上に10本ずつ乗っているよ焼き鳥。


肝心の味ですが

かなり、美味しい。

味付けは濃い目で香ばしく、酒のお供にはピッタリの味。

「10本単位」という無茶な条件でも客が混んでいる理由が分かる。


焼き鳥とビールが止まらない。

もう1皿、注文するくらい焼き鳥が止まらない。

そして酒も止まらない。


結構飲んでしまった。

文字通りベロベロになって、仕事の愚痴が出てしまった。

後半はなんか、泣きながら酒と焼き鳥ローテーションしていたと、思う。


課長はウンウン聞いていてくれたなぁ。

後半、嫌だったかもしれない。


串揚げ屋の一件は置いておいて、本当に申し訳なかったと思う。


でも本当に美味しかったな狸の焼鳥

今まで食べた焼き鳥の中では、ベスト1だと思う。


そして食べログで調べてみる。

現在でも営業中。今はビルの7階にあります。


値段は一本100円、そして。


「10本単位で注文」


のルールは、変わってません。


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