第8話 「平成一桁仙台ランチ慕情(2)」~月桂冠のお袋さん2~

前置きが長すぎたのか

一本にまとめようとしていた『月桂冠』が

思ったより長くなってしまったので、二つに分割。


それは今から30年くらい前の事だったか

会社の課長、私の上司が聞いてきた。


「フードコートを、知ってるか?」


初めて聞く言葉だ。

素直に「いいえ」と答えた。


課長が言うには、飲食の新形態で

複数の店の料理を、同じ席で頼めるシステムだと言う。


「これからの時代、フードコート形式は伸びていくと思う」


そう聞いた。


平成9年に、私は退社した。

理由は色々あって長いので割愛。


それから暫くは、退職金と失業手当で食いつないで

自動車学校に通って、免許も取得した。


駅前にも出なくなったので、食事は殆ど自炊。

もちろん駅前周辺ランチ生活ともおさらばだ。


ある日友人から電話が来て

「駅前にフードコート形式の居酒屋が出来たから行かないか」

と浮かれ気味に話してくれた。


ああ、何年か前に聞いたなフードコート。

無職でヒマだったので、もちろんOKした。


余談だが、仙台は「テスト・マーケティング」の街でもある。


人口100万人都市、ここで新商品の販売や新業務を試してみて

売り上げや集客の結果を見てから、大都市でビジネスを展開する流れだ。


その商品が100個売れれば、都心では1000個売れるだろう

フードコート形式が受け入れられれば、本格的に展開するだろう


なのでフードコートも、日本では早く始められた街だ。


なお東京含む都心のテスト・マーケティングは仙台

大坂方面のテスト・マーケティングは名古屋と聞く。


そして私は初めて、フードコート形式の居酒屋に行った。

友人はすでに何度か行っているらしく、システムは慣れていた。


好きな席に座って、和洋折衷どの店からも注文が受けられるシステム。

始めは戸惑ったが、これは便利だと感じた。


数ある店の中に『月桂冠』を見つけた。

その店の辺りの席に座りたいと友人にお願いして着席する。


間もなくして、覚えのある声が耳に届いた。


「あらーーっ!!久しぶりねぇ!!」


『月桂冠』のご婦人店員だ。


あの店に行かなくなってから2-3年ほど経ったが

店員さんは、顔を覚えていてくれた。


相変わらず元気だ

素早く注文を取り、フードコートの中をひょいひょいと周る。


ん?待てよ?


私が良く行っていたのはランチ、つまり昼だ。

今、夕方だよ??っていうかもう夜だよ?


いつ、休んでいるのでしょうか?


そんな疑問を問うことも出来ず、時は流れ。


フードコートはすっかり、全国に定着した。


私が今住んでいる街には近隣なぞは、3つあります。


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