第2話 自分の価値

 ああ、先の話題で出ていましたが、私、平気で上司に噛み付くようなタイプなんですよ。

「納得してやらない仕事に価値はない」

 とでも言うべきですかね。

 それとも『技術者としての矜持』とでも言うべきでしょうか。

 まあ裏を返せば、納得できる理由があればクソみたいな仕事でもやる、ってのはあるんですけどね。


 そうそう。私、これでも技術屋なんですよ。それも社内的にも業界的にもかなりニッチな分野の専門職でして。そして仕事の内容を説明した時点で本人特定されかねないレベルにはニッチな分野とだけ。

 ともかく弊社内では確実にニッチな分野で、対応できる人間も限られていて、その分野では親会社含めてグループ会社内での第一人者、というところまでは独学で来たのですよ。ええ、オヂサン頑張ったんです。はい。

 …正直に言えば、他にやる人がいないだけ、とも言えるわけですが、そんな話は聞きたくないので無視しておきますね。

 さて、ここで昨今の成果主義という人事評価制度とか考えてみたいのですが。

 社会人の皆さん「自分の実力が、他社含めた業界としてどのレベルにあって、業界全体で比較した場合に妥当な収入と言えるのか?」と言うことを考えたことありますか?

 要は、同じようなもの作ってる競合他社だと、自分の仕事はどんな評価されるレベルなのか、そのレベルだと収入はいくらぐらいが妥当なのか、ということですね。

 自社内では評価が低くても、他社に行けば評価が高いとなれば、そりゃ転職考えますよね。そう言うのを客観的に評価するシステムできたら、リソースの流動化なんて簡単に実現しそうだと思いませんか?経団連あたりが言う「退職させやすさ」なんかより、業界的に他社含めた評価レベルを見えるようにする、ってだけで高評価してくれる会社に転職しますよね、自社の評価を変えるように働きかける人もいるかもしれませんが、その人はその会社のことを考えているんだろうとは思います。が、恐らく経営陣には嫌われます(笑)


 まあ、そんなのは横に置いておいて。

 この「自分と同じ仕事は、他社でも存在していて、その評価がどのレベルなのか、各社横並びで見えると良いのになあ」と言うのは誰も考えたことないのかな?とか思うわけですよ。

 ただ技術屋やってると【守秘義務】が重くのしかかって具体的なところは出せないものになるわけですが、ある程度の実力は世の中に出てる製品バラしてみると想像できますよね。

 実機の実力を評価して把握した上で、バラして中身を確認すると、その時点で設計者としてのある程度の実力が把握できるものなんですよ。

 で、それを「冷静に」、「客観的に」判断するのがどこまでできるか、ですね。

 実際の作業している現場の人間は、そこは体感的にわかるんですが、問題はその辺を査定する上司側がどうか、ですが…まぁ、叩き上げの人くらいしか期待できないかな、と。

 この世の中、その辺を「業界として」やっていこうとすると大企業が揃って主導的に進めるかどうか、になるわけですが、その大企業の上の人たちって、口だけで上がってる人もそれなりにいますからね。どこまで実態を把握できるか…

 で、まぁ、ここで『無慈悲な経営者』目線でみると…

「そんなことしてもらっちゃ困る」

 なんじゃないかなあ?と思うわけですね。

 手っ取り早く言えば『優秀な人材』を『安く』使いたいのが経営者。となれば、他社と比較して『優秀な社員』が他社より安く使われていると知ったら…

 真っ当な経営者であれば、高給出して引き留めようとするかもしれませんが、悪意持てば『実力と報酬』が他社と比べられなければ判断材料無いので大丈夫だろう、と思うんだろうなあ、と。

 そんなこと考えてしまうと、結局自分の価値がどの程度なのかは、自分自身が理解しておかなきゃ損をする、ってことですね。その上で自分の価値を自分の考えているものより高く評価してくれているところは大事にするべきだろう、と思うわけです。

 これから社会に出る人や、まだ社会に出たばかりの人など、参考になれば幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る