夜、誰もいないはずの場所から話し声が聞こえる――そんなことが自分の周りで起こったら間違いなく怖いです。怒鳴り声でも楽しげな声でも、出処が分からなければ怖いことには変わりません。
だからそれが降り掛かった人にとってはただの恐怖体験で、すぐにでも自分の傍から遠ざけたい怪奇現象。けれど視点を変えてその怪奇現象が起こるようになった経緯を知ると全く別の印象になる。
この物語はそんな話です。前半はホラー、後半は人間ドラマで、ちょっとした長編を読んでいる気分になります。
ホラーが苦手な人でも安心して読むことができる、悲しく切ない怪談です。