第27話 夜を超えて
チュンチュンチュン、チュンチュン……
朝。ベッドの上。身体にできた無数の濃ピンク色の痕。
左を見るとリンとメルト。右を見るとウルとウィンディ。
それぞれ気持ちよさそうに、スヤスヤと眠っている。
みんなの身体にも、無数の濃ピンク色の痕が付いている。
「…………ヤッちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
みんなが起きないように、唸るように呟いた。
ヤッちゃった。ヤッてしまった。何がとは言わない。恥ずかしいから。
嘘でしょ? あの高潔で誇り高き聖女の私が、肉欲に溺れたというの? 信者のみんなが聞いたらどれだけ失望されるか!
でも……そういうしがらみから解放されるために楽園を目指したのよね。そういう意味では、避けては通れない道だったのかも。
じゃあ自分の気持ちに素直になろう。
……すっごく、幸せな時間だった。
みんなを愛し、みんなから愛され、それが快感を伴って伝わってくる。
そんなのもう、究極じゃない。
「ん……」
1番最初に目を覚ましたのはウルだった。毎朝早起きして畑の様子を見てくれている。その習慣が染み付いているからだろう。
「おはようウル」
「ご主人! お、おはようございます……」
ウルは顔を真っ赤にして目線を少し逸らした。
やめてよ! 私は勇気を出して平然と振る舞ったのに! ウルがそんなに恥ずかしがると私も恥ずかしいじゃない!
その後みんな続々と起きて、全員ウルと同じような反応をした。メルトまで恥じらうとは意外だったわ。意外と乙女なのね。
リンの作った朝食を平らげ、私たちはテーブルにて会議を開いた。
「みんな知っての通り、私たちは婚約したわ。そして【沼地の魔女族】という対外的にも私たちの存在を認め、協力してくれる相手ができた」
4人は満足げに頷いた。それを見て自然と口角が上がる。
「これから仲間が増えるかもしれない。でも一旦4人の役職を確定したいと思うの」
「役職なのです?」
「うん。例えばウルは食料自給担当とかね」
「なるほどです! 畑だけじゃなく、色々任せて欲しいのです!」
ウルはテンション高く応じてくれた。他のみんなも自分は何に任命されるか首を長くして待っている様子だ。
「メルトは軍事・武力担当がいいと思う。ただし勝手に攻め込んじゃダメよ」
「分かっている。この国の脅威を排除する。それに努める」
うんうん、大陸の上位種族であるメルトにぴったりの役職ね。
「次にリンは衣食住、私たちの生活周りの担当をしてもらうわ」
「料理に洗濯、掃除っしょ? 任せてよね!」
自信たっぷりで頼もしいわ。実際、リンの家事スキルはこの中では飛び抜けている。大船に乗ったつもりで任せられるだろう。
「そしてウィンディは技術・魔法研究の担当がいいと思うわ。必要な素材などへの投資は惜しまないから遠慮しないでね」
「あ、ありがとうございま、す。期待に応えて……見せま、す!」
ウィンディは自信なさげな声色の中で最大の声量で答えてくれた。
「よし、これで楽園はある程度回っていくでしょう。これからもみんなで手を取り合って頑張りましょうね!」
「「「「おー!」」」」
みんな一斉に声を出してくれた。でもメルトは私の顔をジッと見つめている。
「どしたの?」
「ラティーナの役職を決めてない」
「あ、そういえばそうね」
私だけ仕事なしってのも変な話だ。むしろ私が1番働くべきだろう。
「私は代表として外交や楽園統括をするわ」
「ご主人にしかできない、最強の役職なのです!」
「いや、ラティーナにしかできない役職はまだある」
メルト以外の全員が首を傾げた。私にしかできないこと? まだあったかしら。
「ラティにしかできないことってー?」
「それは……私たちとの愛を育むこと!」
「「「「!!!」」」」
メルトは拳をグッと握りしめて「言ってやったぜ」感を出していた。
しかし私を含めた他の4人は、「いやいや……」という表情だ。何せ昨夜がお盛んだったわけで……。
「た、確かにラティーナさんにしかできない、です」
「ちょウィンディ言うね〜! まぁそだけどさ」
「ウィンディ! リン! もう揶揄わないでよ!」
まさかこの2人にも揶揄われるとは。
「実際ラティ、これは真剣な議論だよ。夜のペースをどうするか。性を司るサキュバスだから言えるけど、その意思疎通は必要だよ」
ぐっ……リンめ、昨晩「これが初めて」って甘い声で言ってたくせに評論家ぶりおって……!
でもサキュバスとしての指摘はもっともだった。恥ずかしいけど目を背けてはいけない。そういう分野なのだろう。
「みんなはその、どれくらいのペースがいいの?」
ごめんやっぱり恥ずかしい! 顔が蒸発しそう!
「「「「毎日でも」」」」
「毎日!? 魔族ってすごいわね!」
とてもじゃないけど毎晩4人と勤しむには体力がもたない! っていうか私の負担ヤバくない!?
「その、気分とかも大事だと思うし、最初のうちはゆっくりでどうかしら……」
なんでこんな提案しないといけないのよ! 恥ずかしすぎて死にそうよ! もう!
なぜかみんな「まぁ仕方ないか……」みたいな空気で腕を組んだ。解せぬ。
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