第11話

「えっ?」

「ちょっとぉ~ケントくん、ホンキ?」

 レナとモエが、想定外の彼氏の行動に、あわてふためく。

(やっぱり…)

正直有羽は、自分が行かされる…と思っていた。

だから二人の反応を目にして、複雑な気分だ。

ホッとしたのも、そうなのだが…

この二人は、自分のことをどう思っているのだろう?

有羽はひそかに、凹んでいる。


「だって、こんなこと…女の子にさせるわけには、いかないだろ」

 レナの彼氏は、思ったよりも、いい人のようだ。

てっきり軽いタイプの、いいカッコしいなのかと思っていた。

なので、ちょっと意外な気がする。

もっとも、レナへの点数稼ぎなのかもしれないけれど。

それでも有羽は、ありがたかった。


 レナの鋭い目が、一瞬、有羽の方に注がれる。

それに気が付くと、さぁ~っと、冷水を浴びせかけられたような

気がする。

なので口が勝手に、

「いい、私が行く」

思わず、突いて出た。

(あ~っ、ワタシってば、バカ!)

そう思うけれど、もう遅い。

「そう?」

レナが満足そうに微笑むのが、有羽の目にチラリと映った。

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