第10話

「えっ?」

 何で、ドアのことを知っているの?

有羽は一瞬、戸惑う。

(あっ、さっき、話したっけ?)

さっきからチラチラと、こちらを心配そうに見るレナに気が付く。

とてもウソをついているようには見えない。

「う~ん、あれじゃあないんだけど…」

有羽が見たのは、もっとガッシリとした木の扉だ。

「へぇ?あれを見せようと思ってたんだけどねぇ」

レナがそう言うと、モエもレナの彼氏もうなづいて、有羽を見る。

「へぇ~そうなんだ…」


 こんな所に、ポツンと扉が立っているなんて、確かに珍しい。

有羽の反応を見ると、

「なぁんだ」

レナが笑う。

「ねぇ、あの扉の向こうに…何があると思う?」

目をキラキラとさせて、有羽を見る。

「えっ?」

まさか…私に開けろと、言うんじゃあないよね?

さすがに、それはちょっと…と、二の足を踏んで、目の前の

モエとレナの彼氏を見る。

「ねぇ~いいから、開けてみなさいよぉ」

モエが、レナを突っつく。

「え~っ」

それは、ちょっと、怖くない?

クスクス笑いながら、有羽の方を向く。

「あ~っ、じゃあオレが開けようか?」

有羽にお鉢が回ってくるかと思いきや、それよりも早く、レナの

彼氏が一歩前に足を踏み出した。

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