第3話

 軽く触れるか触れないかくらいで…有羽の手に、すぅ~っと溶け込むように、

その取っ手がなじむ。

(えっ?なんなの?これ…)

初めてこれを触ると言うのに…

まるで昔から、さわったことがあるかのように、彼女の手にシックリとおさまる。

思い切って、その取っ手をぎゅぅっと握ると、カチリ…と音がして、スーッと

何の抵抗もなく、扉が開いた。


「えっ、うそ…」

 開いた…

まさか、本当に開くなんて!

有羽自身、思ってもいなかったので、逆に戸惑う。

(どうしよう?)

動揺する有羽の目の前で、扉が自分を呼び寄せているようだ。

 大丈夫?入っても…

まさか、ユーレイが出てくるとか?

とんでもない化け物が、出て来たりはしないでしょうねぇ?

そのままの格好で、固まっている。

「ユウ…」

誰かが、自分を呼んでいる声が聞こえた。

「だれ?」

 空耳?

声は扉の向こうから、聞こえてきているようだ。

 どうしよう?

今、自分は一人だ。

レナも、モエも、誰も助けに来てはくれない…

「え~っ」

グズグズと、その扉の向こうを見ていると…

クスクスクス…

今度は、笑い声が聞こえる。

「えっ、だれ?誰かいるの?」

思わず一歩、足を踏み出した。

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