とりつかれちゃった?魔法の扉…

daisysacky

プロローグ

「えっ?みんな、どこ?」

 唐突に、面白い所へ連れて行ってあげる~と、友達のリナに誘われて、

軽い気持ちでやって来たのが、この場所だ。

「えっ?ちょっとぉ、話が違う」

ビビッているうちに、一緒に来た子たちの姿が、ドンドン遠ざかって、

見えなくなってしまった。

「ウソでしょ?ちょっと、リナ~」

有羽(ゆう)は、たまらず声を張り上げる。


 リナの彼氏が運転する車が、ドンドン山の中に入って行くのを

見た瞬間、これはヤバイことになったぞ…と、有羽は本能的にそう

思った。

だけどまさか、自分をおいて、先に行ってしまうなんて!

「きっと、もう少し先で、待っていてくれるよね?

 それかこれは、ドッキリなのよね?」

きっと、そうに違いない…

自分にそう言い聞かせる。


 車を乗り捨てて、何分たったのだろう?

「この近くに、ちょっといい場所があるんだよ」

リナの彼氏が、にこやかにそう言うけれど。

「ウソ~面白い所なんて、ないじゃないのよぉ」

 ほいほいついて行った、自分がバカだったのだ。

みんなで、夜景のきれいな所に行かない?

などと言われたから、何も疑うことはなく、ついて来たというのに!

「あ~っ!もっとちゃんと、確かめておくべきだった!」

 だけど、もう遅い…

こんな何も見当たらない所で、はぐれてしまうなんて!

「まさか、こんな何もない所で、遭難するの?ワタシ…」

思わず有羽は、ゾゾッとする。


 何しろ、山の中だ。

真っ暗で、イノシシにでも襲われたら?

「とにかく、みんなを探さなくちゃ」

 リナじゃなくてもいい。

 リナの彼氏でもいい。

 そうじゃなかったら、リナの友達のモエちゃんでも、何ならユイちゃん

でもかまわない…

「ねぇ、みんな!どこにいるの?」

こうなったら、なりふりなんてかまってはいられない。

草むらを、ズンズン分け入って行く。

すると…いきなり目の前に、何かがドンと現れた。

「えっ?」

 なんなの?これ。

「ドアだ…」

 なんで、こんな所に?

(まさかみんな、この奥に隠れているとか?)

悪趣味だ…

おびえながらも、ゆっくりと、有羽はその扉に近付いて行った。

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