第1章 謎の扉

第1話

 いきなり目の前に、立派な木の扉が現れる。

「えっ」

さっきまで、ブツブツ言っていた有羽も…

その立派な扉を前にして、言葉を失った。

「これって、どこにつながっているの?」

さすがに、手を触れるのをためらう。

「まさか…どこでもドア?」

そんなの、あるわけがない…

有羽はそう思うけれど…まるでポンと現れた扉に、そうとしか

言いようがない。

建物はどこ?

枝がすごくて、本体の建物が目に入らない。

「なんなの?これ…いたずら?」

こんなこったイタズラを、誰がするっていうの?

ためらいつつも

「ねぇ~なに?誰かいるの?」

思わず声を上げる。

だけどその声も震えて、ヘンに裏返っている。

(返事がきたらきたで、知らないんだったら、どうするの?)

そんなことも思うけれど…

「じゃあ、開けるわよ」

触らない方が、いいかもしれない。

一瞬、そんなことが有羽の頭に浮かぶけれど。

でも、それだと…いつまでたっても、答えが出ない、と思う。

(無視したら?もし何か出てきたら、どうするの?)

有羽の頭に、そんなことも思い浮かぶけれど…

どこにつながっているのかが、気になっていた。

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