生徒会ハーレムRTA

蚤寝晏起

3月

1 計測開始

 生徒会。

 学園制度における生徒たちの代表、まとめ役を担う組織の通称である。


 ハーレム。

 香囲粉陣こういふんじん。元はイスラム社会における女性の専用居住区を指す言葉である。


 Real Time Attack。

 ゲームプレイにおいてその攻略の速さを競う種目の名称である。


 望月 もちづきれん

 ここ私立梨流夢りりゅうむ女学院にて、才女達にその身一つで挑む匹婦の氏名である。










「やっ、た……」

「やっっっ……ったあぁぁぁぁぁ!!」


 クイーンアン様式の荘厳なキャンパス。前庭に響く咆哮は私、望月 もちづきれんが発したものだ。


 散々こだました後で我に返って口を押さえる。ふう、危ない。はしたなく叫んでしまうところだった。え? もう叫んでたって? ちょっと何言ってるか分かんない。


 マダム風の保護者達が向ける怪訝な視線もそぞろに、今一度自身の受験票と張り出された合格者一覧とをじっくり見比べる。


 大丈夫。ちゃんと番号がある。受かってる。そうして何度目かの充足感に包まれながら、未だ寒い空に白い息を吐いた。


 けれど、違う。ここで満足してはいけない。だって、これは単なるスタートに過ぎないのだから。



 某U財閥令嬢、某政治家Ⅰ息女、数学五輪金メダル保持者……挙げだしたらキリがないほどの権威、財力、才能の群れ。あらゆる分野におけるエリートが集う正真正銘の名門高校であると同時に、男子禁制の百合の園。


 その名を、私立梨流夢りりゅうむ女学院。


 そんなエリートたちをまとめ上げる上澄み中の上澄み――梨流夢生徒会執行部。


 凡人であることを拒み、才能に愛し愛された4人の才女たち。




 ――私が堕とす女たちだ。




 待っていろ生徒会。1人残らず私が幸せにするその日まで。


 生徒会ハーレムRTA。タイマーが今、動き出す。

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