ウォーズカード 応募受付期間終了時点までに本文が10万文字(文庫本1冊分の目安文字数)以上であること。なお、長編、連作短編等小説の形式は不問といたします。2月2日
鷹山トシキ
第1話 🥊 現代の闘士、奥州へ立つ
🍂 郷土の呪いとムエタイの拳
令和の世。秋田県大仙市出身のムエタイ選手、**斉藤
それは、まるでゲームのカードのような体裁だが、和紙に血のような朱色で「後三年の役」と記されていた。カードを手に取った瞬間、猛の左腕に熱い痛みが走る。
「なんだ、これ…」
その夜、カードがまばゆい光を放ち、猛の視界が歪んだ。
気づくと、猛は泥と血の匂いが漂う戦場に立っていた。周囲には鎧を着た武士たちがおり、秋田の地では見慣れぬ、殺伐とした空気が流れている。
彼の左腕に刻まれたカードの文言が、現実の古文書のように詳細に展開された。
【戦争カード:後三年の役】
時代: 永保年間(1083年~)
陣営: 源義家軍 vs. 清原家衡・武衡軍
目的: 敵将・清原家衡を討伐せよ。
制限時間: カードが光る間(約二週間)
失敗条件:
1. 制限時間超過(2025年へ強制送還)
2. カードの破損(持ち主の即死)
猛は戦場に放り込まれたのだ。
⚔️ 源義家との邂逅
混乱する猛の前に、一際威厳のある武将が現れた。後の世に「八幡太郎」と称される、源 義家その人だった。
「貴殿は、清原の悪鬼に立ち向かうために、遥か未来より天が遣わした闘士か」
義家は、猛の左腕の光るカードに気づき、その力を察した。義家は、清原氏の内紛に介入し、兵糧攻めの最中だったが、決着がつかず苦戦していた。
「私はムエタイ選手だ! 戦場なんてまっぴらだ!」と抵抗する猛だが、義家は涼しい顔で刀を鞘に戻した。
「貴殿のその異形の武術、恐るるに足らぬ。しかし、この戦は奥州の民の運命を握る。そして、貴殿が戻るには、清原家衡を討ち、この戦を終わらせるしかない」
猛は、故郷秋田の歴史に巻き込まれたことを理解した。ムエタイの技術は、刀や槍には劣るかもしれないが、この時代にはありえない**「徒手空拳」**の破壊力を持つ。
「わかった。やろう。俺は、試合のリングじゃなく、この戦場で勝って、秋田に帰る!」
💥 地獄の兵糧攻めとキック
義家の陣営に加わった猛は、早速その異能の力を発揮する。
清原軍が籠る**
清原勢の侍が、猛に斬りかかる。猛は、刀の軌道を見切ると、得意のミドルキックを侍の胸板に叩き込んだ。
ドゴォ!
甲冑ごと吹き飛ばされた侍は、そのまま戦闘不能に陥る。
「な、なんだ、あの足技は! 鬼か!」
清原勢の兵士たちが恐れおののいた。
しかし、清原氏の棟梁、**清原
「あの異国の武術を使う男を討て! カードの光が消える前に、奴を始末するのだ!」
猛の左腕のカードは、時間と共に、光を強くしたり弱くしたりを繰り返している。残り時間は、刻一刻と迫っていた。
猛のムエタイの闘志は、歴史の渦の中で、故郷の運命をかけた戦いへと駆り立てられていく。
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