第2話 スポーツの定義 許されるものと許されないもの

「そうか、やはり中国も負けたか」

「はい総理、ただ今後、参考になる話がいくつか」


 官房長官が資料を渡す。


「スポーツの一覧か」

「はい、そして今回、中国は三つの競技を提案しました、太極拳、麻雀、そして今回負けたeスポーツ」

「いや太極拳はスポーツか? 前回のヨガでも思ったが」「宇宙連合側は、ヨガも太極拳も却下してきました」


 そもそもスポーツの定義とは、

 という話になってくる、そこでの一覧表だ。


「それで麻雀は」「スポーツに含んでも良いが、運の要素が強いものは対戦回数を多くするようにと」

「そうは言っても、麻雀はテクニックも必要だろう」「ですから運の度合いですね、そして実際に対戦したのが」

「eスポーツという訳か」「結果は大惨敗、こうなってくると『勝てるスポーツを探せ』という状況です」


 しかも、ある程度知られている、である。


「ジョギングだって、わが国ではラジオ体操だってスポーツと言えなくもないが」

「あくまで相手は『侵略』に来ている訳ですから、勝ち負けのあるスポーツしか駄目だと」

「つまり、一緒にヨガや太極拳や安来節では」「採点競技にする手もありますが、それでも負けそうです」


 こうなると、頭を抱えるしかない。


「あくまで対戦……これはどうだ、日本Aチームと宇宙人Aチーム、

 そして日本Bチームと宇宙人Bチームの合同チームで対戦、どっちが勝手も仲良し」

「……提案はしてみますが、おそらく却下されるでしょう」「そうか」「何か勝てるスポーツを」


 eスポーツが良いのであれば、

 何か他のものを……将棋、囲碁、バックギャモン……

 すごろく、は運の要素でしかない、パチンコなどもそうだろう。


「知恵は集まっているのか」

「はい、宇宙人対策チームを、ありとあらゆる分野から」

「分析結果は」「今の所、勝てるスポーツは……引き分けの可能性があるスポーツを探しています」


 我が国は十一番目、

 よって引き分けでも勝ちとして扱って貰える。


「……何か、何かあるはずだ、少なくとも自国で知られていれば、

 極端な話、競技でさえあればスポーツでなくとも……何かないのか」

「例えば動物を使うものとか、宇宙人には理解できない競技は無いのか、とか」「そこだ」


 宇宙人がわからないスポーツ、

 いや競技……いかに外部から分析していても、

 何かあるかも知れない、地球人だけが、いや、日本人だけが理解できるもの……!!


「総理!」「なんだ秘書官、慌てて」

「アメリカが……アメリカが、負けました」

「競技、スポーツは」「アメフトです、アメリカは一点も取らせて貰えませんでした!」


 肉体系スポーツは、絶望か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る