高市総理をダシにさせて貰い、政治問題を面白おかしく深刻に

南埜純一

第1話 タイトルの作品を書き始めた動機


⑴ 40歳で亡くなってしまった、整形外科医南埜正五郎の無念晴らし。このためにこの四年近くの間、日常の大半を費やしてきた。心身ともに消耗の域に達しているのではないかと、我ながら不安視する日々の中で、高齢に至った我々夫婦にとっては、次男との今後の生活を共に構築せねばならない。この必要を痛感し始めた。何かあった場合、すぐ助け合えるような距離で(物理的にも精神的意味においても)暮らしたほうがよい。正五郎を亡くした後悔から得た教訓であった。

 

生活面の大まかな方向性が構築できると、精神のゆるみからか、これまで気になってはいたが、放置していた出来事が出番を求めて騒ぎ始めた。

 

⑵ では何故、高市早苗さんなのか。この点は、31年前に出版して半年で著者自ら廃版手続きをとった拙著【古都にくちづけ】という書籍の存在が大きく影響している。友人たちに言われて初めて気が付いたのだが、当該書籍がネット上で、爆上がりと言っても過言でない高値で売買されているのだ。

 当然、私を含め、友人たちの間で爆上がりの理由探しが始まる。①表紙を書いてくれた越水利江子さんが有名人になっていることから、その相乗効果として上がっているのではないか。しかしこの考えは、彼女の作品が評価され、著名人になったのは今に始まったことではないので、単体の理由としては弱い。②次に友人たちの口を吐いたのは、高市早苗さんが私の大学の後輩で、彼女の何とも言えない気品ある居宅を設計したのが私の友人のIH氏。これらと高市早苗総理誕生が相まって、31年前出版の(流通期間が半年で、私の手元にも在庫というものがほとんどない)希少本が暴騰しているという考え。この説は【古都にくちづけ】暴騰の時期と驚くほど符合していることから、説得力があるように思える。が、私とIH氏は21歳も年が離れ、そもそも友人付き合いをしていただいた理由は、私の教え子の両親の依頼でIH氏が高層マンションの設計図を描いたからで、この経緯を知る人は限られていて、この説も単体の理由としては弱い。③そこで第三の希望的観測に基づく説が顔を出すのである。これは、現在ネット上で無料購読可能な拙著【古都にくちづけ、さよなら吾妻都】が、高市総理と私の出身大学の後輩・佐々木蔵之介君を主演にして、ドラマ化ないし映画化の話が水面下で進んでいて、これを先取りしての、旧書【古都にくちづけ】に思惑買いが入っているのではないか。しかし、これはまさに神戸大尽くしで、山中伸弥教授の名声にまであやかりたい、超が三つも付く、超々超・希望的観測であって、前二者に較べると残念ではあるが、儚い夢のような、針先に浮かぶバブルさながらの思い付きである。

⑶ 以上のように、倉庫の片隅にほんの僅かばかり眠っていて、ご希望の方には定価でお売りしている【古都にくちづけ】。この31年前発行の書籍が巻き起こした騒動であるが、これを奇貨として、わが国初の女性総理に就任された・高市早苗さんがらみの、少々気になる政治の話を、ラックに週刊現代と週刊大衆が並ぶ喫茶店の片隅から書き継いでいきたいと思う。

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