【AI小説・AI漫才台本】しょうもない理由でタイムマシンを作った博士・他

いぬのいびき

【AI小説】「しょうもない理由でタイムマシンを作った博士の話

木下優斗は、自室の地下にあるガレージで、汗だくになりながら最後の配線を終えた。

​「よっし……ついに完成だ!」

​彼の目の前にあるのは、奇妙な金属の塊だ。見た目は古びたロッカーに、無数の真空管と派手な色のケーブルが絡みついた、いかにも「SFに出てくる手作り感満載の機械」といった風情である。

​しかし、木下にとっては単なる機械ではない。これは、彼が人生の全てを費やして完成させた、タイムマシンだ。

​その開発期間、実に12年。

大学で物理学と工学の博士号を取得し、そのまま研究機関に入った木下は、極秘裏に私財と時間をつぎ込み、ついに時空の壁を破ることに成功したのだ。

​その偉大な発明の目的は何か?

人類の未来を救うため? 歴史上の大事件を阻止するため?

​否。

​彼は、たった一つの、しょうもない理由のために、この装置を動かそうとしていた。

​それは一週間前、中学の同窓会での出来事だった。

​会場に足を踏み入れた途端、クラスで一番のお調子者だった佐藤が、ビールジョッキを掲げて大声で叫んだ。

​「おーい! みんな、井上が来たぞ!」

​その瞬間、木下の全身の血液が逆流するのを感じた。

​「よっ、井上! お前、全然変わんねーな!」

「井上、久しぶり! 連絡しろよ!」

​皆が皆、悪気なく、親愛の情を込めて彼を『井上』と呼ぶ。

木下優斗という本名を知っているはずなのに、いつの間にか定着してしまったそのあだ名が、彼の魂を削るナイフのように感じられた。

​(頼むから、もうやめてくれ…!)

​「井上」というのは、お笑いコンビ・NON STYLEの井上裕介さんのことだ。

​なぜ、彼が井上と呼ばれるようになったのか? その原因は、彼自身にある。

​中学二年生。世の中の全てに反抗し、自分だけは特別だと信じきっていた、あの恐ろしい中二病の時期に、彼は当時流行っていたゲームの主人公に心底憧れてしまった。その主人公の髪型は、片側だけが異常に長く、もう片方は刈り上げに近いアシンメトリー。

​彼は、これを「究極のクール」だと信じ、小遣いをはたいて美容院で忠実に再現した。

​その結果――。

​クラスメイトからは、「お前、NON STYLEの井上さんみたいだな!」と大爆笑され、それ以来、卒業までの二年間、『井上』というあだ名が定着してしまった。

​それは、木下の人生における、最もイタい歴史であり、黒歴史の頂点だった。

​(くそっ! 俺は木下優斗だ! 博士号まで取った木下優斗だ! あの髪型のせいで、俺のアイデンティティは『井上』に上書きされてしまったんだ!)

​同窓会で皆と笑いながらも、彼の心の中は、あの頃に戻って髪型を阻止したいという、ただその一点の憎悪で満たされていた。

​そして今、タイムマシンは完成した。

​「過去を変える…! 俺のしょうもないあだ名を消し去るために!」

​彼は起動スイッチを押し、光に包まれながら、時空の彼方へと飛び立った。

​西暦200X年。木下優斗、中学二年生の教室。

​授業が終わり、皆が帰宅準備をしている中、未来から来た博士、木下優斗(30歳)は、当時自分だった少年――「過去の木下優斗」の席に座り、真剣な顔で向き合っていた。

​「いいか、過去の俺。よく聞け。俺は未来のお前だ。博士だ」

「え、何これ…マジで? ドッペルゲンガー? てか、髪型ダセェな、おっさん」

​過去の優斗は、未来の自分に全く敬意を払わない。しかし、未来の優斗は動じなかった。

​「未来のことは信じなくていい。だが、これだけは聞け。お前は今、あのゲームのキャラの髪型にしようと思っているだろう。絶対に、やめろ」

​過去の優斗はギョッとした顔で、カバンから美容院の切り抜きを取り出した。

​「な、なんで知ってんだよ! かっけーだろ、アシンメトリー!」

「カッコよくない! あれは流行らない! そして、その髪型のせいで、お前は将来、中学の同窓会で**『井上』**というあだ名で呼ばれ続けることになる! 博士になってもだ! 俺の人生の恥だ! あだ名博士になっちまうぞ!」

​未来の優斗は、感情を爆発させ、あだ名による苦悩を滔々(とうとう)と語った。その熱意と必死さに、過去の優斗は呆気にとられながらも、次第に真剣な表情になった。

​「…そんなにヤバいのか、その『井上』ってあだ名は」

「ヤバいなんてもんじゃない! 頼む! 髪型を変えてくれ!」

​過去の優斗は、切り抜きをくしゃりと丸め、ふと考え込んだ。

​「分かった。未来の俺の、そんな深刻な悩みを解決してやる。あだ名なんかで人生狂うのはダサいしな」

​彼は未来の優斗をまっすぐ見て、自信満々に言った。

​「じゃあ、未来で流行る髪型ってどんなんだ? それにすれば、絶対にダサくはねーだろ?」

​未来の優斗は閃いた。そうだ。自分が知っている「流行の最先端」を教えてやればいいのだ。

​「いいか、未来は**『ツーブロックのマッシュ』**が最強だ! サイドを刈り上げて、キノコみたいに丸いシルエットにする。これが、清潔感があって、女子ウケも最強だ!」

​過去の優斗は深く頷き、さっそく美容院へと駆け出した。

​「これで完璧だ」

​未来の優斗は、過去の自分が流行の最先端を行く髪型に変えたことを確認し、満足してタイムマシンに乗り込んだ。

​過去を変えた。もう二度と同窓会で「井上」と呼ばれることはない。

​彼は現代へと帰還した。

​時が経ち、二度目の同窓会が開催された。

​木下優斗は、洗練されたスーツに身を包み、堂々と会場に足を踏み入れた。もう「井上」などという屈辱的なあだ名で呼ばれる筋合いはない。

​彼は、かつての自分に教えた「ツーブロックのマッシュ」を、今も貫いている。それは現代では確かに人気の髪型だ。

​会場を見渡すと、佐藤が彼を見つけて、ビールジョッキを掲げた。

​「おーい! みんな、松茸が来たぞ!」

​木下は、時が止まったように立ち尽くした。

​「よっ、松茸! いいツヤしてんじゃねーか!」

「久しぶり、松茸! マッシュルームカットがキノコっぽいからって、まさかお前、名前が『松茸』になっちまうとはな!」

「あはは! まぁ、一番高級なキノコだしな!」

​皆の笑顔は、前回と同じように悪気が全くない。

​木下は、自分の頭に手をやった。

​ツーブロックのマッシュ。確かに丸いシルエットはキノコだ。しかし、どうして『松茸』なのだ?

​佐藤が彼の耳元で囁いた。

​「お前が中二の時、急にその髪型にしてきただろ? あれ、時代を先取りしすぎたんだよ。俺らの間では、未来のキノコって呼ばれてた。で、キノコの最高峰って言ったら、そりゃ松茸しかねーだろ?」

​木下優斗は、二度目の、そしてより強烈な絶望に襲われた。

​(俺は…! 12年の歳月を費やして、自分のしょうもないあだ名を、よりにもよって**『井上』から『松茸』**に変えたのか…!?)

​彼は、ふらふらと会場を後にした。

​翌日。木下優斗博士は、誰も知らない秘密のガレージで、タイムマシンを解体し始めた。

​「…だめだ。しょうもない理由で過去に干渉しすぎた。これ以上、自分のあだ名を変えるために時空を歪めるのは、博士として失格だ」

​彼は、最後のネジを外し、機械に白い布をかけた。

​(きっと、あだ名というのは、運命なのだ。『井上』だろうが『松茸』だろうが、俺は俺だ…)

​そう自分に言い聞かせたその時、彼のスマホに、佐藤からメッセージが届いた。

​松茸! 今日、二次会の写真見てて思ったんだけどよ。スーツ着てるお前、何か、アスパラガスっぽくね? 細長くて、上だけボリュームある感じが。次からは、アスパラって呼ぶわ!

​木下優斗は、布をかけたタイムマシンを、再び恐ろしい目で見つめた。

​「…もう一度だけだ。アスパラだけは、絶対に阻止する…!」

​彼は、新たな起動スイッチに手をかけた。博士の、しょうもない戦いは、まだ終わらない。

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