第2話 霊能者の九十三(つくみ)
実は適当にネットで検索した珍しい苗字を、なんかそれっぽい、という理由だけで名乗っている。本名はどこにでもいそうだし、何なら名字だけで小中高と他のクラスにいたし、下の名前だって小中高と他のクラスにいた。フルネームでは被っていないから、まあいい。
私の一族はまあみんなエリートで、祖父も父も伯父も叔父も兄も妹も従兄弟も従姉妹も陰陽寮に勤めている。私は一族の中では破邪も卜占(ぼくせん)も苦手だったので、ごめん、嘘をついた。出来なかったので、こうして民間で霊能者をしている。
一族の人たちより突出していたのは視る力で、これだけはたまに父や兄から呼ばれることがあり、いいお小遣い稼ぎになっている。
さて、その日私の所に持ち込まれたのは、とある不動産会社からの依頼だった。大学の時の友人の叔母さんの嫁ぎ先の姪っ子さんの旦那さんの同僚の女性の旦那さん、という距離間らしい。よく私の話が届いたものであると感心しきりだ。
友人には恐縮されてしまったけれど、話が届いた、ということは、その人にとって私の手助けが必要、ということなので気に病まないで欲しいと慰めておいた。必要な人の所に必要な情報は届くものなので、話を聞くことにした。まずは聞くだけ。私にどうにかできるかどうかは定かではないので。
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