「じじ猫くらし」ふじひと(12月20日)

 そろそろクリスマスが近いので、ホッコリ期に入ろうと思う。

 そう、最近のタイトルが割と内容重めの作品が多いという事は理解していたのだ。プリンタニアとかホッコリ系の顔して意外とそんな事ないし。

 というわけで最初のホッコリは「じじ猫くらし」だ。可愛い老猫と飼い主の実話である。


 この作品は当初、「猫と暮らしてる日記」というタイトルでpixivで連載されていた。

 全ページカラーで、黒・黄・オレンジ・白の4色で描かれていた(稀に青色も入る)。ちょっと珍しい描き方だが、猫の色が鯖白なので、その色合いがぴったりだったように思う。

 この頃はpixivやTwitterで描かれた作品に人気が出て、やがて商業化する例が多かった。なので作者の方はたぶん最初からそのつもりはなかったのではないかと思う。

 ただただ、大好きな飼い猫との日常を漫画にしていたら、その簡潔かついかにも猫らしい姿が大人気になった、という感じだったのではないだろうか。


 そんな漫画なので、内容は推して知るべし。

 目が覚めたら自分の顔の前で寝ている猫にはじまり、玄関を開けたらすっ飛んでくる猫、何もない宙を見つめている猫、お風呂についてくるのに入りたがらない猫、寝起きが遅いと起こし、寝るのが遅いと寝かしつけに来る猫。猫、猫、ああ猫よ。お前はどうしてそんなに可愛いのだ?

 読んでいるととても猫が愛おしくなる。猫を飼いたくなる、ではなく、「ここんちの猫は愛されてるしいい子だなぁ」とホッコリする。そういう作品なのだ。


 ただし、リアルタイムで連載を追っていって最終話を知っている私のような人はともかく、初めてこの作品に触れる人には、一応知っておいてほしい部分がある。

 最初に「老猫との実話」と書いたことから想像がつくかもしれないが、この「じじ猫」はすでに虹の橋を渡っている。漫画にもその事は描かれていて、可愛い猫と飼い主の話だと思って読んでいるとラストでものすごく泣くことになる。

 おい、ホッコリどこ行ったんだよと言われそうだが、それでもこの作品は大好きなのだ。


 そのポイントはおそらく、猫と飼い主の距離感なのだと思う。

 ふじひとさんはとても猫を愛している。けれどお人形のような可愛がり方はしない。人生のパートナーとして、尊重し適度な距離を持ちつつ、猫のやる事をじっと観察して大切にしている。だからこそ、その猫の姿は簡略化されているのにとてもリアルなのだ。

 他の猫好きな漫画家さんの作品ではちょっと見られないようなその在り方が、私にはとても心地よく思えるのである。


 猫が猫であることが大好きだという人には、ぜひ読んでみてほしい作品だ。


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