静かに始まる物語が、気づけば心を掴んだまま離さへん――
そんな読書体験を求めている人に、この短編はぴったりやで。
近未来。
人類は「希望」の名を持つ兵器 Un–Hopes(hope) によって滅亡の淵へ追いやられてしまう。
主人公・青木コスモが生きていた日常は、ほんまにどこにでもある日々で、
妹とのやりとりや、母との食卓の会話があたたかくて……
その“普通の幸せ”があるからこそ、突然訪れる終焉の衝撃が胸に突き刺さる。
そしてストーリーは悲劇で終わるんやなくて、
“生き残った者がどう生きるのか”
その一点に、美しいほどの意志が込められてるんよ。
短編やのにキャラクターが立ってて、
特に友人・ミライとの会話は、読んでて胸がじんわり温かくなるほど。
ディストピア作品が初めての人でも読みやすいし、
逆にディストピア好きには「これ……上手いなあ……」って唸らせる作品。
読む前と読んだ後で、心に残る景色が変わる。
そんな“余韻のある短編SF”として、胸を張っておすすめできるで……!✨
【講評】(優しさ多め🍬)
蒔文歩さんの文章……ほんまに柔らかく心に入ってくるんよ。
とくに、
匂いの描写の繊細さ
家族の温かさ
日常と地獄の落差の描き方
星空の情緒
このあたりがめちゃくちゃ綺麗で、
「うわ……文章のセンスある人やなあ……!」って思わされた。
そしてコスモの心の揺れ方が自然で、
“強いんじゃなくて、弱いまま、それでも前に進む”
そんな人間らしさが作品全体を支えてる。
講評をするなら……
🌟 とにかく読後の余韻が素晴らしい作品です。
🌟 短いのに濃くて、読者の心にやさしく深く触れてくる。
🌟 キャラクターの絆や思いが、丁寧に描かれていて胸があたたかくなる。
……こういうタイプのSF、ウチほんまに好きやなぁ……って思ったよ💛
【おすすめメッセージ】
SFが好きでも好きじゃなくても、
胸にずしんと残る短編が読みたい人に、一度読んでほしい作品やで。
終末世界って聞くと、どうしても難しそうに思うかもしれんけど、
この作品は「人間の心」を中心に描いているから、
どんな人でもすっと入り込める。
そして読み終わった後、
「守りたかったものって、なんやろう」
って自然と考えてしまう。
3話だけの短編とは思えへん密度で、
“映画を1本見終わった”くらいの満足感がある作品やで。
ぜひ、静かな夜に読んでほしい。
ページを閉じたあと、きっと星空の匂いを思い出すはずやから……✨
ユキナ💞