#004 森の冒険??

 森に入って川に沿って下って街に向かって歩く。途中休憩して昼ご飯を食べてまた出発してそして日が暮れてきた。森の中なのか暗くなるのが早くしかも肌寒い。私は鞄から上着を取り出した。

「夜の森は寒いからね、これも持って行ってね」

と出発する前日にメアリーおばあちゃんが言いながらこの厚い上着を渡してくれた。

 ふぅ〜、森の中って本当に寒いね〜。その上着のおかげで森の中でも暖かく過ごせそうだ。

 周りが暗くなってきたから、初日の冒険は川のそばに泊まることにした。何時間も歩いたから疲れたし、おなかがペコペコだ。歩く途中で採った果物を川で洗い、持ってきたお弁当と木の実と合わせて今日の晩ご飯にした。村を出る前に作っておいた虫除けを体に塗り、防虫剤を寝袋の近くに置いた。


 森の夜は思った以上にすごく怖い。虫の鳴き声があらゆる方向から聞こえて体が震え、狂ってしまいそうになる。毎日森で遊んでいたけど夜の森に入るのは初めてだ。あぁおしっこが漏れるうぅぅぅ。

 とりあえず目を閉じて何も見えないようにすれば、少しは恐怖を感じなくなるだろうと思ったら耳が余計に良くなり、あらゆる余計な音が耳に入ってくる。い、今誰かの話し声だったかな?、、という具合になってしまい、余計に怖くなった。もう何も考えないように強く目を閉じ、畑のトマトの木を数え、眠りにつく努力をした。


 あぁ友達が本当に欲しい。


 翌朝体の時計通りに目が覚めるとまだ真っ暗だったから火を熾した。昨日の恐怖はきれいさっぱりなくなったし、時間の余裕があるから、近くに生えた珍しい植物の絵を描き、のんびりして朝ごはんを食べて小動物たちと遊んで明るくなると出発した。


 今日の夜はリスちゃんたちと鳥ちゃんたちが私の傍にいてくれたおかげで少し恐怖が和らぐ。私は心から邪念を追い払うために熾し火をじっと見て、無心になり、恐怖を和らげた。寝る時は畑の白菜を数え、目を強く閉じて眠りにつけた。


 この状態を三日間続けた。

 四日目、川を下って歩いていたら二匹の真っ白な大きい犬ちゃんに会った。犬って普通森の中で生息するのかしら?と思いつつ近づいて行ったら犬ちゃんたちが私に気が付いた。

「こんにちは。どうして君たちはここに?」

『ぐううううーーッ』と女の子の犬ちゃんが唸った。どうやらこの二匹の犬ちゃんがあちこちを旅しているらしい。

「そうなんだね〜。私はリーマというの。これから君たちはどこを旅するの?私はトレストという街に行くんだけど、一緒に行かない?」と誘ってみたらこの子たちはどうするかと迷う。


 犬ちゃんたちは警戒心なく私にこすりつけてきた。私がしゃがんで犬ちゃんたちをワシャワシャすると、この子たちは私のほっぺにキスしたりなめたりする。尻尾も激しく振るから、一緒に来てくれると前向きな答えだということにした。

 私はリーマだから男の子の犬ちゃんを「リオ」と女の子の犬ちゃんを「リア」と名付けた。


 最初の三日間は独りぼっちだったから周りを観察する気持ちが全くなかったけど、今リオとリアも一緒だから心に余裕ができた。

「うわっ!さすが森の奥だね!珍しい植物がたくさん生えているじゃないの!ね!リオ!リア!わっはぁぁ!」

 珍しいものが見つかると、その植物に飛びつき、鑑賞したり絵を描いたりどこで会ったか記録したりする。ここは森のどこなのか知らないから、全部「西の辺境森」と書いておいた。まあ二度目は来れない気がしなくもないけど。


 おじいちゃんに植物を教えてもらった最初の頃はなかなか植物の違いを見分けられなかった。どうすればいいのか悩む時、『絵を描くと物の詳細まで頭に残るかもしれんぞ』とおじいちゃんに勧められ、植物の絵を描くように頑張った。

 最初は私が描いた植物がミミズにしか見えなかったけど、だんだん枝がちゃんと枝に見えるようになり、そのうち植物がちゃんと植物に見えるようになって私はちょっと絵が得意になった。そして私が見つけた植物を描くのが私の習慣になった。

 そんな私は植物を見つけては絵を描く。あまり先に進まない気がするけど、リオとリアもいるからこの子たちは私のことを守ってくれるし、夜の森とか街とかもう気にしなくてもいい気がする。


 もはや森で暮らしてもいいんじゃないかな?川のそばで生活すれば、水の心配もないし洗濯もできるし料理も作れる。道に迷った〜と言って村に戻ってもおじいちゃんに怒られないんじゃないかな?どうしても街に行けと言うなら、今度こそおじいちゃんも来るように死ぬほど強請ろう。おじいちゃんも一緒なら心強いしやる気が出る。うんうんそうしよう!

 私の森の生活の六日目、適当に森を歩くと、ちょっと先のところに鹿ちゃんが二匹いるのが見え、『ヒュー!』と口笛でその鹿ちゃんを呼んだ。

 この口笛は以前ニックお兄ちゃんが口笛を吹くのを見てカッコいいなと思って教えてもらった。三ヶ月頑張ってやっと口笛ができるようになった。

「剣術も武術もこれぐらい頑張ってほしいんだが」というおじいちゃんの呟きは聞こえなかったことにした。


 鹿ちゃんが私の口笛を聞くと、私のほうに振り向き、二匹とも歩いてきてくれた。

「こんにちは。君たちはどこに行くの?夫婦かな?」私が鹿ちゃんたちに話すと、二匹とも頷き、私にすりすりしてきた。可愛い〜。

『ゴローッ』とリオとリアは鹿ちゃんたちに威嚇したから、鹿ちゃんは怖がっていて逃げようとした。

「リオ、リア、やめて!鹿ちゃんたちをいじめないであげて」

 リオとリアに言うと、ちゃんとやめてくれた。この子たちは本当に大人しくていい子だ。

「もう大丈夫だから、怖がらなくていいよ。リオとリアはいい子だから、安心してね」

 念のため鹿ちゃんにリオとリアのことを紹介しておいた。

「私はトレストまで行くんだけど、一緒に行く?私とリオとリアだけだから寂しいの」私がそういうと鹿ちゃんが何度も頷く。一緒に来てくれるみたい。


 旅の仲間は四匹になった!


 そんなこんなで私たち一人と四匹は森の旅を続けた。

「うわっ!あそこにもある!すごっ!みんなこれ見て!」

 こんな行動がしばらく続くとリオとリアの眼がだんだん冷たくなった気がする。まあまあまあまあ、きっと気のせいなんだろうね。だって鹿ちゃんたちは相変わらず澄み切った瞳で私を見守っているんだもん。

「あっこれ虫除けの材料だよ。持っているものはそろそろ無くなっちゃうから、ちょっと採るね。みんなちょっと待っていてね」

 私は遊んだり、真面目に植物を採ったりして、そんなこんなでこの森にいて十日目になった。


 村から出発して十日目の夜、私たちはご飯を食べ、体と髪の毛を洗ってさっぱりすると川の近くでリオ、リア、鹿ちゃんたちと他の小動物たちと一緒に寛ぐ。そして森に入って初めてのピンチがついに訪れた。


 四人の男が現れたのだ。

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